草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

文化

「赤とんぼ」。郷愁からプライマル・スクリーム(原初の叫び)へ。

8月10日(日)大泉学園のライブハウス「in“F”」で、ピアニスト東秋幸さんとフルート奏者宮川悦子さんのお二人のコンサートがありました。東秋幸さんが作曲した曲と既存の曲を東さんが編曲した曲の演奏で構成されていました。1曲ごとに曲の解説を丁寧にして…

BiSH的高速悲壮楽曲群02

BiSH的高速悲壮楽曲群シリーズの第2回 第1回はこちら↓BiSH的高速悲壮楽曲群01 - 草加小話 BiSH的高速悲壮楽曲群は、BiSHがいた事務所WACK所属のグループに多く見つけられる。なぜならば「オーケストラ」を生んだ松隈ケンタがWACK所属グループの曲をガンガン…

BiSH的高速悲壮楽曲群01

BiSHの「オーケストラ」(2016年)は聴くものの心を鷲掴みする強烈な楽曲だ。BPMが高速(180!)なのに雄大で流れるような美しいメロディー。いわゆるエモい、つまり情感豊かなんだけど、「エモい」という言葉では言い尽くせない、高速ゆえにもっと切羽詰ま…

麦倉忠彦氏を追悼する~「草生人」インタビュー転載

↑「草生人」麦倉忠彦氏インタビューのメイン画像 2025年1月26日、彫刻家麦倉忠彦氏が逝去されました。享年89歳でした。草加のフリーペーパー『草生人』(休刊中)の2016初秋号、特集「草加とアート」で麦倉忠彦氏にインタビューを行いました。ここに転載しま…

PIGGSの「飛べない蛇」。推しを失った僕たちはPIGGSに救われるかもしれないと思った

飛べないレゲエ PIGGSの「飛べない蛇」という曲が頭の中でずっと聞こえている。この曲は2020年、PIGGSが結成された年に出た最初のアルバム『HALLO PIGGS』の12曲中12番目に収められた曲。ゆったりしたリズムと美しいメロディーと痛切な歌詞。軽快な「KICKS」…

BiSHの「Primitive」。Primitiveな(始まりの)BiSHは不安と憧れの間で揺れていた。

アイドルグループBiSHは2023年6月29日に東京ドームでのコンサートを最後に解散した。しかし僕は聴き続けている。 たとえば「Primitive」。 なんて高らかで伸びやかなメロディーなんだ。「オーケストラ」も「プロミスザスター」も「My Landscape」ももちろん…

BiSHのスパーク。創造力に点火! 「俺」は愛と罪に満ちた言葉を生み出す! 

最近はずっとアイドルグループBiSH(2015年~2023年)の「スパーク」という曲について考えています。 「スパーク」はBiSH結成の年2015年3月に初音源が発表されました。ただしその音源は渡辺淳之介(wack社長、本曲の作詞家)が歌ったものでした。 そして同年5月…

BiSHの「プロミスザスター」は過去と未来に怯えた少女の物語だ

BiSHは2015年に活動開始し、2016年に「オーケストラ」という壮大な曲をリリースしてすごいグループがいる! と世間に知れ渡った。2017年3月にオーケストラの系譜に連なる名曲「プロミスザスター」が発表された。BPMは170とアップテンポなのにゆったりしたメロ…

『BLUE GIANT』ー全力ジャズがイージーなジャズに戦いを挑み続ける物語

『BLUE GIANT』はジャズを中心テーマとした漫画。全10巻。それが劇場アニメ映画になった。 主人公は宮本大。仙台生まれ。10代のテナーサックス奏者。デカい音、強い音に価値を置いている。毎日長時間、川堤で1人で練習していた。サックスの師匠との出会いで…

野球に挫折して政治家になった!? ー 今井宏氏インタビュー

3月3日に元草加市長で元衆議院議員の今井宏さんが亡くなりました。私の母校、埼玉県立春日部高校の先輩にあたり、政界引退後は高校同窓会の会長を務めていらっしゃったので、知己を得ることができました。 2019年2月14日、春日部高校同窓会草加支部の会員向…

携帯電話を携帯と略す……。広い概念の言葉が特定の意味に独占されていく現象

ところで「携帯電話を携帯と略すな」「WikipediaをWikiと略すな」という意見をSNSで見かけました。 「携帯」と言えば「携帯電話」を指すことが社会常識として通用しています。これは電話の意味が携帯という言葉に飲み込まれているような状態です。このため電…

西村との出会い

1月6日に友人の西村昌巳君が亡くなりました。63歳でした。 西村君は博学でした。社会学、哲学、歴史、文化人類学に詳しくて、映画、ロック、アニメ、相撲などについても広くて深い考察をしていました。ルービックキューブを28秒(だったかな)で解けて、これは…

「BiSH-星が瞬く夜に-」BiSHは行かなくちゃいけない。

「BiSH-星が瞬く夜に-」は2015年発売のアルバム『Brand-new idol SHiT』のリード曲だ。 www.youtube.com 最初のパートは「ハッタリばかりのまるでパラダイスのような学生たちが電卓たたく世界」に私たちが生きているが、この世界でアイドルの使命はどうなっ…

山下達郎の「Love Space」。歌唱力でぶん殴られるような爽快感

山下達郎は自身のバンド「シュガー・ベイブ」が解散した1976年の年末に『CIRCUS TOWN』でソロデビューしました。 そして翌1977年5月にはもうセカンド・アルバム『SPACY』をリリースしました。24歳! ブラスもストリングスも自分で編曲。多重録音による精緻な…

分かれていろいろあってまた出会えた。兄弟のような会社、写研とモリサワ。

かつて本や雑誌を作る過程には版下作成というものがあった。版下にはびっしり文字が焼き付けられた印画紙が貼り付けられていた。写植というものだ。 校正して完璧になった版下は晴れて印刷所に持ち込まれ、次の工程に進む。 写植といえば写研という会社一択…

「そしてまた歌い出す」が聴きたくなった

東日本大震災の直前、2011年3月2日に発売されたRHYMESTERのアルバム『POP LIFE』の中に、「そしてまた歌い出す」という曲がある。東日本大震災、コロナ禍、戦争……。いろいろなことが起こっている。今こそ聴きたい曲だ。 www.youtube.com 2011年4月に、当時所属…

疑問文ではないのに「?」が使われている日本語の用法について

以前から「?」、クエスチョンマーク(疑問符)が気になっています。英文字の記号なので、近代以降に日本人も使うようになったのでしょう。調べたら、尾崎紅葉の『金色夜叉』(1897年)と夏目漱石の『吾輩は猫である』(1905年)ではすでに使われています。いっぽう…

フィロソフィーのダンス。耳から神経を刺激するASMRファンクの誕生!

ドント・ストップ・ザ・ダンスのクルセイダーズ感 フィロソフィーのダンスのメジャーファースト・アルバム『愛の哲学』が発売されました。いいです。最高と言わざるを得ません。 フィロソフィーのダンス『愛の哲学』 「ドント・ストップ・ザ・ダンス」を聴い…

「夢で逢えたら」は現実では逢えない人への思慕の歌?

大瀧詠一が作った「夢で逢えたら」になぜ人々は惹かれるのか。 夢でもし逢えたら 素敵なことね あなたは遠くにいるけど、逢いたくなったら夢で逢える。 この「あなた」はどこにいるのだろうか。 夢枕に立つという表現がある。死んだ人が夢に現れることだ。こ…

氣志團のOne Night Carnivalはネタでメタだがベタである

氣志團の結成25周年を記念して「One Night Carnival」のトリビュート・アルバム『All Night Carnival』が発売されました。11組のミュージシャンが独自のスタイルで、新解釈で、敬意を込めて「One Night Carnival」を演ったアルバムです。 収録曲は以下のミュ…

草加市歌はスイングしている

NHK Eテレの音楽教養番組「星野源のおんがくこうろん」第4回を見ました。テーマは「中村八大」。中村八大がジャズピアニストとしていかに優れていてまた人気があったか、そして「上を向いて歩こう(SUKIYAKI)」がいかに時代を超えて欧米のミュージシャンの無…

北方謙三『チンギス紀』。チンギス・カンはタイムトラベラーか。

こんにちは。 最近北方謙三の『チンギス紀』をKindleで読んでいます。今11巻まで読んで、最新刊は12巻。まだまだ続く様子です。モンゴル帝国強いです。戦闘場面の描写の寄りと引きの激しいカットつなぎは手に汗握ります。登場人物たちもみんな曲者で魅力たっ…

栄光、失敗、悲しみを忘れることなく受け入れて線でつなぎ未来へと引き伸ばす。プロレスとは実存の思想なのだ。

2013年4月7日発行の「草生人メルマガ Vol.019」に書いた記事を見つけました。すっかり忘れていたけど、読み返したらけっこう味わい深いのではないかい?と思いました。改めて公開してみますね。 女子プロレスラー米山香織選手のストーリー(じつに 彰) 3月29日…

桐生ちあり「東京」のMV。他人に運ばれていた立場から飛び降りて自分で歩き出した3人が再会して光り輝く話

YouTubeで「桐生ちあり / 東京 (2021 Remaster) 」というMVを観た。 www.youtube.com 深夜の街。通行人がいない。モノクロの映像。 カートに若い女性が載せられていて、それを何者かが押している。女性は声を上げて泣いている。彼女が着ている白いドレスには…

クラウドの隅っこから「90年代ベスト」というメモが出てきた

クラウド(Googleドライブ)の隅っこから「90年代ベスト」というテキストが出てきた。パソコン通信にでも載せたのだろうか。なんだか気恥ずかしいリストですが、せっかくなのでご紹介します。 90年代ベストブック 【人文社会】 『世界史の誕生』岡田英弘/ちく…

BiSHは解散後が楽しみだ、と思っておこう……

PEDROというバンドの「雪の街」という曲。美しく歪(ひず)んだギターの音に包まれて、アユニ・Dが歌う。 www.youtube.com 大声で泣けばいいと思っていたあの頃こんなに大きくなったよかなしいもうれしいも全てを愛してくれた私が抱きしめる番 PEDROはアユニ・…

『俳句空間』で俳句の前衛を知った

実家から『俳句空間』という雑誌が出てきた。1987年のNo.6から1993年のNo.23(休刊記念号)まで。 発行は弘栄堂書店。編集人は大井恒行。編集協力委員は安部鬼九男、夏石番矢、林桂。 僕は俳句が好きだった。 友人が尾崎放哉を仲間たちの輪に持ち込んでから急…

『月刊ポエム』。詩が好きだったことを思い出した。

実家をあちこち漁っていたら、『月刊ポエム』という雑誌がぞろぞろ出てきた。高校生の頃買っていた雑誌だ。ああ、詩が好きだったんだ。 月刊ポエムの創刊から休刊まで(1号欠けている) 『月刊ポエム』は創刊が1976年10月号。すばる書房。編集長は詩人の正津勉…

EMOEを聴いて「ネガティブ」を大切に生きたいと思った。

YouTubeで「豪の部屋」のアーカイブを観た。 「豪の部屋」とは吉田豪がホストを務める動画配信サービス「SHOWROOM」の番組。 その日はさくらという女性がにこやかにしゃべっていた。EMOEというアイドルグループのメンバーだそうだ。 EMOE(エモエ)はエモ(Emot…

コンテンツという用語を連発するとき商売商売という倍音が聞こえていた

何も見ない、何も聞かない時間がありません。読みかけの本(電子書籍を含む)も録画したテレビ番組も登録したYouTubeチャンネルもPodcast(ラジオ番組の配信)もDVDもBlu-ray Discも溜まっているし溜まり続けている。 電車に乗っていても、食事していても、ジョ…