草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

BiSHの「プロミスザスター」は過去と未来に怯えた少女の物語だ

BiSHは2015年に活動開始し、2016年に「オーケストラ」という壮大な曲をリリースしてすごいグループがいる! と世間に知れ渡った。2017年3月にオーケストラの系譜に連なる名曲「プロミスザスター」が発表された。BPMは170とアップテンポなのにゆったりしたメロディーに感じられ、バラードととられがちなところも「オーケストラ」(BPM180)に通じる。だが歌詞が一筋縄ではいかない。

ライブではイントロで6人が手をがっしり掴み合って宙をぶんぶん振り回す。まるで互いにふりほどこうともがきながらも手を離せないでいるように見える。

それから彼女(BiSH)は歌い出す。あふれる情感を抑えるように。

どのくらい歩いてきたんだろう

怯えて過ごす毎日だった

僕はヴィム・ヴェンダースの『パリ、テキサス』(1984年)という映画の冒頭シーンを思い出した。

やせ細った男が記憶をなくして荒野をフラフラ歩いている。やがて自分が何者か、自分の家族はどうしているかを思い出し、自分のしでかしたことと向き合う。

彼女(BiSH)も荒野を一人で歩いていたのだろう。彼女の荒野はいったいどんな風景なのだろう。どんな子供時代を過ごしてきたのか。そしてどんなに深く傷ついたのか。

彼女は過去に怯え、また未来にも怯えているのかもしれない。

だから君を待って待って

未来は待って待って

彼女は「待って 待って」と繰り返しながら手の平を前に突き出して、未来の到来を押し留める。未来へと踏み出す勇気を持てないのだ。

BiSHには解散の日である2023年6月29日以降という未来が迫っている。

未来は待って待って

きっと巡り合った僕らは奇跡なんだ

今自分には大切な仲間がいる。今のままでいたい。だから未来よ待ってくれ。

もう一度彼女たちのダンスを見直す。

すると「待って 待って」のフレーズは手を振って未来に呼びかけているように見えてくる。未来を引き受ける準備ができたのだ。

ふと気づけばすぐそばに

僕と最高が誓いを満たすまで

最高が満たされる時期が迫っている。

そして「誓い」を思い出す。

あの空を染めてけ

プロミスザスター

彼女たちは星に誓ったではないか。彼女たちは星の瞬く夜に行かなくちゃと誓ったではないか。

一人が指を天に突き出し、その手を5人が掴み、全員で力強く、大きく空中に星を描く。誓いのサインだ。

未来へと動き出すときが来た。6月29日を迎えよう。その夜、星が瞬くだろう。

 

www.youtube.com

BiSH / プロミスザスター[NEVERMiND TOUR RELOADED THE FiNAL “REVOLUTiONS” @ 幕張メッセイベントホール] 2017年7月22日(土)

 

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