草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

氣志團のOne Night Carnivalはネタでメタだがベタである

氣志團の結成25周年を記念して「One Night Carnival」のトリビュート・アルバム『All Night Carnival』が発売されました。
11組のミュージシャンが独自のスタイルで、新解釈で、敬意を込めて「One Night Carnival」を演ったアルバムです。

収録曲は以下のミュージシャンたちで、曲名はすべて「One Night Carnival」。

1.浜崎あゆみ
2.WANIMA
3.木梨憲武
4.湘南乃風
5.BiSH
6.m.c.A・T & ISSA (DP)
7.東京スカパラダイスオーケストラ
8.鬼龍院翔 from ゴールデンボンバー
9.打首獄門同好会
10.倖田來未
11.ももいろクローバーZ

ネタでありメタであるがベタになる

One Night Carnival」は2001年に世に出た氣志團の最初のヒット曲です。学ランとリーゼントのバンドメンバーが軽薄なダンス曲を演奏しながらパラパラを踊る曲です。奇をてらい違和感を放ち、歌詞も楽曲も通俗性の極みですね。最初に聴いたとき、ちょっとだけいやな感じを抱いたものです。

しかしここまで通俗性に徹すると、これはもう狙いすましたものとしか思えません。つまり、ネタでありメタ(パロディ)である。しかしなぜか心に響いてしまいベタ(マジ)になっていく。そうなぜかこんなネタ楽曲に感動する自分に気づいてしまったんです。それでどこに惹かれたのか考えました。

停滞があるからサビの開放で浄化作用

Aメロ(ワンナイト・カーニバル 胸の奥 ZUKI-ZUKIと 音たてる ANGEL~)とBメロ(Can You Master Baby? Master Baby!~)はマイナーキー。

青春の鬱屈、やさぐれ、やけくそが歌われる4つ打ちダンスビート。パラパラのステップ(足踏み)。停滞のパートだ。

サビ(瞬きもせずに 俺たちは 光の渦に巻き込まれてく~)でメジャー調に転調する。

メロディーが小節をまたがって伸びていき歌が動き出す。視界が広がり、海が見える。開放のパート。

心が動かされて泣けてくる。マイナーよりメジャーのほうが泣ける現象。いや最初の停滞があるからサビの開放で浄化作用が起こるのでしょう。

www.youtube.com

木梨憲武は和もの全部乗せ

さてトリビュート・アルバムの人選に木梨憲武の名前を見て、ここに芸人が入って大丈夫か?と心配しましたが、心配無用でした。ねぶた祭りの「ラッセーラー」とソーランか何かの掛け声を合体したり、津軽三味線と尺八、民謡、浪曲、能の謡曲も入っているという、和もの全部乗せの超こってり。それを木梨の強靭な喉が歌い切る。すさまじい音楽でした。

木梨憲武の「One Night Carnival

www.youtube.com

BiSHは「My Landscape」や「NON TiE-UP」のような壮大路線。サビのメジャーへの転調は複雑なコードに変えられていて混沌が進みます。アイナ・ジ・エンドがなかなか歌わないと思っていたら、最後のほうでようやく登場。「MY Landscape」での「マーーーーーーーーーイ・ランドスケープ♪」のように「こーーーーーーーーーーーいしているのさ♪」と引き伸ばして登場! やってくれる! あと「NON TiE-UP」におけるスーパーハシヤスメタイムのような天上からのディーバ歌唱も聞こえました。

↓BiSHの「One Night Carnival

www.youtube.com

ももいろクローバーZが大トリ。セリフの内容を今の自分の決意表明に変えました。ももクロは2012年から氣志團万博に出ていて、氣志團に学びながら、また氣志團からのリスペクトを受けながら、こんなに成長しました。これはももクロから氣志團への手紙です。

氣志團国道16号線文化の担い手

氣志團は1997年に千葉県木更津市で結成されたバンドです。木更津市国道16号線沿線の街で、16号線沿線といえば『国道16号線: 「日本」を創った道』の柳瀬博一氏の主張によれば、日本の戦後文化を革新したアーティストが活動をスタートさせた場所です。柳瀬氏は、美空ひばり松任谷由実矢沢永吉大滝詠一小田和正EXILEなどを挙げています。

16号線は横浜から出発して八王子、さいたま市あたりを経て東京の外側を回って千葉県に入り、終着地近くに木更津があります。横浜や横須賀の反対側に位置しますが、氣志團も上記のカリスマたちに並ぶ資格があり、新しい文化の担い手になる使命があるのです。

ほど近くに袖ケ浦海浜公園があります。ここに毎年多くの人が集まり氣志團万博が開催されます。

もうすぐ海が見える さびしがり屋達の伝説さ