2023年に解散したBiSHの代表曲「オーケストラ」はその後のアイドルグループに種を残した。高速でしかも悲壮な曲、オーケストラから生まれたと思われる楽曲が次々と生まれている。これを「BiSH的高速悲壮楽曲群」と仮に名付けた。
↓ 以前書いた記事はこちら。
崖っぷちルビー (VS. アイナ・ジ・エンド) / TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA
東京スカパラダイスオーケストラが元BiSHのアイナ・ジ・エンドをボーカルに据えた「崖っぷちルビー」は、BiSHの「オーケストラ」の要素をふんだんに盛り込んでいる。
オーケストラのようにリズムなしのイントロ歌唱のあとに激しいリズムが入ってくるし、スネアドラムの乱打もある。
随所にBiSHを連想するメロディを感じるし、スカパラならではのブラスに加えてストリングスが空間を埋める。
「オーケストラ」を作った松隈ケンタへのリスペクトか。いやこの曲は松隈ケンタ本人が作曲に参加している。つまりリスペクトも度が過ぎると本人を召喚するほどになる。
※「スカ」なのでドラムは間を取ってアクセントを打つので最初は「高速」ではない。途中からアクセント位置が変わり、倍速に「高速」になる。
それにしてもアイナは崖っぷちなのか。MVではヘリポートでの演奏の場面がある。救助を求めている。
いやアイナはどちらかというと崖っぷちではない。今最高に輝いている。そして過去に関わった人たちを引き連れてアイナファミリーを形成している。
元BiSHの仲間との交流も続いているし、若いときのダンス仲間や音楽仲間、そして妹REiKA(ダンサー)もすぐそばでいっしょに活動している。そしてとうとうBiSHを作った大人たちのうちの最重要人物、松隈ケンタと再会した。
アイナ自身崖っぷちの自覚は常に持っているのだろうが、この歌はむしろ崖っぷちにいるアイドルたちに向けて語りかけているような気がしてならない。
今、アイドルたちは歴史的な崖っぷちに立たされている。いや、崖っぷちから落ちている。
WACKが所属グループをすべて解散させた。あるいはまもなく解散する。
※豆柴の大群は別プロデュースなので解散を免れている。
ももいろクローバーZが所属する「STAR PLANET」(スターダストプロモーションの女性アイドルセクション)も次々とグループを解散させている。
そして東京女子流もフィロソフィーのダンスさえも解散してしまった。
さらにはPIGGSまで解散を発表した。
MVのヘリポートのシーンを見返してみる。アイナたちはHマークを形作るように立っている。つまり崖っぷちで立ち往生している人たちに、ここを、アイナを目指して避難してね、と呼びかけているのだ。アイナは救助隊だ。

作詞:谷中 敦、アイナ・ジ・エンド
作曲:沖 祐市、松隈ケンタ、アイナ・ジ・エンド
編曲:東京スカパラダイスオーケストラ
崖っぷちルビー (VS. アイナ・ジ・エンド) / TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA
【Ado】ビバリウム (Vivarium)
作詞作曲:Ado
2026年2月18日(水) 配信開始。
Adoの半生が描かれた小説『ビバリウム Adoと私』(著者:小松成美、原作:Ado)に合わせて書かれた楽曲。
「クローゼットに閉じこもっている、私に向けた歌。」とAdo自身がコメントしている。
これは「プライマル・スクリーム(原初の叫び)療法」なのだろうか。幼少期に生じたトラウマに起因する苦痛や困難からの開放のために叫ぶ、という療法。
BPM 195。かなり高速。
【Ado】ビバリウム (Vivarium)
NEO JAPONISM「きづいて」
NEO JAPONISMは2017年に結成し、2019年にメンバー全員の活動終了・契約解除し、その後新しいメンバーで活動再開した。
NEO JAPONISMのサウンドプロデューサーSayaは松隈ケンタのSCRAMBLESにいたことがあって、WACKの曲の制作にも携わっていたとか。
「きづいて」(2024年)はメンバーの滝沢ひなのが作詞・作曲した作品だ。心が弱って傷ついている人に寄り添った名曲。滝沢ひなののハスキーで力強い声が届く響く。
なお2025年にPIGGSでCHIYO-Pだった大和田ちよりが加入した。合ってる。
NEO JAPONISM「きづいて」Music Video
NEO JAPONISM「Dear」Music Video
3B junior
3B junior(スリービージュニア)は、ももいろクローバーZが所属するスターダストプロモーションにかつてあった大所帯女性アイドルグループ。2014年~2018年。ここから派生して様々な元気いっぱいのスタダアイドルユニットが多数生まれた。
「勇気のシルエット」はももクロのコンサート会場ですれちがったあるファンからCDをいただいた、つまりいわゆる布教されたのだが、希望と高揚感に満ちた曲で、悲壮感はない。でもグループが、そしてスタダアイドルたちが直面する運命(ほとんど解散した)を思うと悲壮感を勝手に感じてしまう。
このライブ動画に映っている(0:43)雨宮かのんはのちに、まるで正反対の傾向を持つ事務所、WACKのオーディションに合格してGANG PARADEに加入し、キャ・ノンになった。そのGANG PARADEもまもなく解散する。
3B junior / 勇気のシルエット2018.11.3 Special Edition
ベイビーレイズJAPAN「夜明けBrand New Days」
作詞・作曲:堀江晶太 2015年
レプロエンタテインメントという大手事務所のアイドルグループ(2012年 - 2018年)。2013年のNHK朝ドラ「あまちゃん」内のアイドルグループ「アメ横女学園芸能コース」が歌う「暦の上ではディセンバー」を実際に歌った影武者グループだ。その年のNHK紅白歌合戦の「あまちゃん特集」にも出場した。
ライブでのファンの盛り上がり過ぎが有名だった。こんなに人気のグループなのに、そして「夜明けBrand New Days」が希望に満ちた夜明けの歌なのに、この歌を歌いながら解散した。大手事務所のほうが冷たいのかもしれない。
歌詞を読むと、青春時代の輝きを、アイドル活動の一瞬のきらめきを振り返っているようにも読める。
センターの林愛夏の歌唱力が飛び抜けてすごい。劇団四季『ライオンキング』に子役として出演したことがあり、またグループ解散後に改めて劇団四季に入団した。本来の居場所である劇団四季に戻ったのだった。
ベイビーレイズJAPAN「夜明けBrand New Days」【日比谷野音】
Camberwell Now - Greenfingers(1987年)
時代が大きく遡ってしまうが、「BiSH的高速悲壮楽曲」の系譜を感じずにはいられない曲だ。
イギリスの前衛的なバンドThis Heat(1976年 - 1982年)のドラマー、チャールズ・ヘイワードを中心に結成されたバンドCamberwell Now の「Greenfingers」という曲。
機械的なドラムとバキバキのベースが生み出す高速リズム。伸びやかなメロディーなのに苦しそうな歌声と最後の詠唱コーラス。
いったいどんな悲劇が歌われているのかと英語の歌詞を翻訳したら、農業の希望と不安の歌だった。 Green fingersというのは園芸の才能を意味する慣用句らしい。
1996年に渋谷のラ・ママでチャールズ・ヘイワードのソロライブを見た。カセットテープでベースと持続音のシンセを流してドラムを叩きながら歌った。突っ込み気味のドラミングがせっぱつまった感覚でものすごい緊張感だった。
Camberwell Now - Greenfingers(1987年)
yosugala - 夜明けの唄
作曲編曲:EREN from AliA、作詞:TKT from AliA。2022年。
yosugala(ヨスガラ)は、2022年結成日本の女性4人組アイドルグループ。
ロックバンドAliA(アリア)のメンバーチームと、PassCodeのサウンドプロデューサーチームという2つのクリエイターチームが楽曲制作を分担しているという。
「夜明けの唄」はAliAチームの制作楽曲。これまでを振り返りこれからを強く思う歌。
yosugala - 夜明けの唄
yosugala - アステリズム
作曲編曲:平地孝次 作詞: 法橋昂広
AliA / emotion【Official Music Video】
作詞:TKT 作曲:EREN。2024年
yosugalaをプロデュースするAliAの曲。高速で壮大で悲壮だ。
AliA / emotion【Official Music Video】
O-VER-KiLL - あくなき鼓動
作詞・作曲:松隈ケンタ。2024年。
2024年結成のアイドルグループ。サウンドプロデューサーは松隈ケンタ。WACKから生み出された名曲群に連なる風格だ。
O-VER-KiLL - あくなき鼓動(Official Music Video)
INUWASI - ストリングスウォーズ
作詞・作曲・編曲:辻久カオル。2022年。
INUWASIは2020年デビュー。広島のMAPLE INC.という会社が運営するグループ。
「ストリングスウォーズ」は壮大で高速で「この戦争は終わりが見えなくて」と歌い出す。出会ったことない世界感が描かれる。ストリングスが激しく鳴りまくる。
INUWASI - ストリングスウォーズ[MUSIC VIDEO]
ジエメイ「Mew」2023年
作詞:とみゐ鈴木 作曲:APG
ジエメイは2022年に愛知県名古屋市で結成したグループ。ラウドロックを歌う。
力強い歌声で聴くものを鼓舞する。
ジエメイ - 「Mew」【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
ジエメイ - 「ラ・ラ・リバース」【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
カイジューバイミー『全力シルエット』
2021年。作詞:メルクマール祐、作曲:つまり
カイジューバイミーは2020年結成。
ハスキーな歌声のスタンド・バイ・菜月がロックな世界を作っている。
この声はCARRY LOOSEのウルウ・ルやNEO JAPONISMの滝沢ひなのに通じる。
カイジューバイミー『全力シルエット』Music Video
Girls be bad - それじゃあ またね
2024年。Lyrics:松隈ケンタ、Music:松隈ケンタ
Girls be badは2024年8月に結成。松隈ケンタが福岡で自らオーディションして作り出したグループ。紛うことなき正統のBiSH系高速悲壮楽曲だ。
Girls be bad - それじゃあ またね [Official Music Video]
大問題 ┃ きのホ。(きのぽ)
2025年。作詞作曲:ハンサムケンヤ
きのホ。(きのぽ)は、京都を拠点とするアイドルグループ。2021年デビュー。
所属事務所は京都で飲食店の経営なども行っている古都レコード。
この曲はささやかな日常にこそ様々な大問題や大切な瞬間があるという視点を高らかに壮大に高速に歌い切った佳曲。
大問題 ┃ きのホ。-Music Video-
さよならソリチュード『コンフリクト』
2018年。Lyrics & Music & Arrangement:水谷紀之
さよならソリチュードは2018年8月25日結成の2人組ユニット。サウンドプロデューサー水谷紀之がオーディションを行ってユニットを結成し運営していた模様。
「オーケストラ」への類似が目立っている、つまりいい曲。次の曲はない模様。
さよならソリチュード『コンフリクト』Music Video
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