草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

BiSHのスパーク。創造力に点火! 「俺」は愛と罪に満ちた言葉を生み出す! 

最近はずっとアイドルグループBiSH(2015年~2023年)の「スパーク」という曲について考えています。

スパーク」はBiSH結成の年2015年3月に初音源が発表されました。ただしその音源は渡辺淳之介(wack社長、本曲の作詞家)が歌ったものでした。

そして同年5月、インディーズから発売されたアルバム「Brand-new idol SHiT」の1曲目に入りました。

渡辺淳之介は2017年にも、自身と松隈ケンタ(同曲の作曲家)の歌唱による(しかも主演の)MVを公開しました。スパークは彼にとって最重要な楽曲であることがわかります。

beat mints boyz / スパーク[OFFiCiAL ViDEO] - YouTube

渡辺淳之介松隈ケンタの静かで揺るぎない友情が伝わるMVで、今観ると感慨深いです。

ミドルテンポのフォーク・ロック調。歌いだしはかなり低音です。アイナ・ジ・エンドはこの低音もしっかり出せるのがすごいです。サビでは打って変わって高らかに「このまま消えてしまえ」と歌い上げて、強烈なカタルシスを与えてくれます。

この歌は作詞者である渡辺淳之介の芸術家としての創造性の発露の瞬間をスパーク(発火)と表現したのではないかと思いました。

※ちなみにTHE YELLOW MONKEYの「SPARK」からの引用があって、渡辺淳之介からTHE YELLOW MONKEYへのオマージュという面もありますが、あっちは性愛の衝動を歌っているのかと思います。

 

さて、この歌の趣旨を僕なりに以下のように考えてみました。

新しい 何かが俺の中で目覚めた 時代が回る 
世はあける また非は昇る
涙の訳が 世界を変えるよ ファニーさ

スパーク!

火花が飛んだ。「俺」の中のプラグに着火してエンジンが始動した。さあ「俺」は走り出す。「俺」の時代の到来だ!

「俺」は苦しんでいた。悔しくて泣いたこともあった。でもその涙の理由故に「俺」が世界を変えなくてはいけないのだ。この「俺」が世界を変えるだと? 面白い(ファニー)もんだな。

不安だな どこまでゆけるかは 不安と安 それ君の中にある?
息吸えるか、確かめる

不安かって? ああ不安だ。でも同時に大丈夫だという確信もある。

不安に全身が覆われたときは、自分が呼吸していることを確かめるんだ。

どんなとげとげな日でも 息してれば 明日は来るんだし(beautifulさ)。

このまま消えてしまえ 愛のない罪のない言葉たち
空虚は雲の彼方 痛みを痛みでこらえよう

スパーク! 「俺」の中の創造力に火花が飛んだ。「俺」は自分の作品を作る。言葉を生み出す。この世にはくだらない作品が多すぎる。愛がない言葉や人畜無害な言葉などこのまま消えてしまえ! 俺は愛と罪に満ちた言葉を生み出すからな!

虚しくなることもあったが、虚しさなら今頃雲の上だろう。「俺」は今ポジティブさ。

挫折や失敗や喪失によって「俺」は傷を負い、その傷は今も痛む。しかし今は創作の苦しみに七転八倒している。その痛みのおかげでトラウマを忘れられているのかもしれない。

そう今しか立ちむかえない 待ってなんかいられない

そう。火花が飛んだこの瞬間が潮目なんだ。このチャンスを逃してはならない。

今しか立ち向かえない。待ってなんかいられない。

こうして「俺」はBiSHを作った。楽曲を創造した。8年活動した。そして今また火花が飛んだんだ。「俺」の心にもBiSHメンバーの心にも。さあ世界が動くぞ。

 

www.youtube.com

BiSH / スパーク [BiSH SPARKS "the FiNAL BATTLE of REVENGE" EPiSODE 3] @マリンメッセ福岡A館 (for J-LOD LIVE)

 

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