草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

「BiSH-星が瞬く夜に-」BiSHは行かなくちゃいけない。

「BiSH-星が瞬く夜に-」は2015年発売のアルバム『Brand-new idol SHiT』のリード曲だ。

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最初のパートは「ハッタリばかりのまるでパラダイスのような学生たちが電卓たたく世界」に私たちが生きているが、この世界でアイドルの使命はどうなっているんだと問いかける。

BiSHは答える、「行かなくちゃ」と。

WACKのアイドルたちは行かなくちゃいけない。BiSから始まってGang ParadeGOTOTHEBEDSASPも行かなくちゃと歌っている。行かなくてはいけない。留まってはいけない。

そして「化け物だって 気にすんな」と続ける。

「化け物」という自虐自嘲は、このあとすぐに「MONSTERS」という曲でBiSHが追い求める巨大なイマジネーションに昇華することになる。

さらに「星のまたたく夜に」と歌い上げる。

この「瞬く」の部分のメロディーがエモーショナルで、「ま・た・た・く」の歌声だけで泣ける。曲を通して何度も繰り返される「瞬く」を待ち望んでしまう。

つまりこの歌は、「星の瞬く夜に、BiSHは行かなくちゃいけない」というメッセージを伝えているのだ。

「星」は「オーケストラ」で、夜空に浮かぶ星たちを見上げたあの星だ。「プロミスザスター」では星に誓った、あの星だ。

化け物(モンスター)たちの行く末については、2021年発表の「CAN WE STiLL BE??」でこう歌っている。

果てのない問いかけに立ち向かって

化物たちは ここまできて
もしも 僕ら 消えたとしても

どこかへ行きどこか向かってくでしょ

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「CAN WE STiLL BE??」は「化け物がどこかへ行く」というモチーフを「BiSH-星が瞬く夜に-」から引き継いでいる。続編のような内容だ。

この曲が発表された2021年8月はBiSH解散発表の前だが、メンバーとスタッフの間では解散が決定されていた。だから今となっては「解散」をめぐる思いなくしては聴くことができない。

どうか 僕ら 続きますように」と願いながら、立ち止まれないさだめが 襲うよ 焦燥感」を抱く。このジレンマを抱えて葛藤しながらBiSHは最後の章を疾走しているのではないだろうか。

そして僕は「BiSH-星が瞬く夜に-」を聴き返す。解散の宿命の種が既にここに蒔かれていたことを妄想しながら。

BiSHは行かなくちゃいけない。輝かしいかっこいい姿の残像を残して、僕たちの前から消えて、とにかくどこかへ。次のステージへか、次の世界へか。

それが宿命なら、BiSHよ行け!

最後のステージでは、無数のペンライトが、星が瞬くように光るだろう。