第3期BiSがすごい。
蓮っ葉な声でパンクな曲を歌う4人組。だがその歌声は予想外の髙い音域に達し響き伸びる。胸に突き刺さる。パンクならではの短い楽曲は、どの曲も後半の歌い上げでカタルシスを感じさせる。
変なフォームなのに豪速球を投げちゃうピッチャーとか、下手な絵なのにストーリー展開でぐいぐい引き込むマンガとかに通じる?
このBiSのほかBiSHやEMPiREなども所属するwackが放つ楽曲のほとんどを作曲している松隈ケンタは、YouTubeでBiSのネオ・トゥリーズの歌唱力を非常に高く評価していた。wackで一番髙い声を、地声で出せると。だから大サビのハイトーンで、そこにさらに髙いハモリをネオ・トゥリーズにやらせる。
でも実はハイトーンはほかのメンバーも負けてないらしい。歌唱力集団なのだ。
第1期BiSは2010年渡辺淳之介がプー・ルイを中心に結成し、ありとあらゆる戦略(思いつき)を注ぎ込んだゲリラ的なプロモーションと数々の名曲を繰り出して、2014年に解散した。
BiSをもう一度と結成したBiSHが華々しく世に出たあと、2016年に第2期BiSが結成された。その活動は激しい試行錯誤の果てに、これまた数多の名曲を残して2019年5月に解散した。
その後すぐにオーディションが行われ、2019年6月、第3期BiSがスタート。メンバーの脱退と追加と脱退があったが今は4人で安定している。
「101回目のカーテンコール」というMVがYoutubeにアップされている。汗びっしょりで目はうつろで、涙ぐんでいるメンバーもいる。いったい何が起こっているんだ!
どうやら「CURTAiN CALL」という曲を100回連続で歌い踊り切る過酷なミッションを達成したと思ったら、ダメ押しの101回目が流れ始めたらしい。非情だ。
このMVの公開のあと、5時間を超える101回連続ノーカット「CURTAiN CALL」の壮絶な動画が公開された。これをやり遂げるBiSの体力、精神力はすさまじい。さすがに意識が朦朧としたときがあったようだが誰一人脱落しなかった。とくにトギーは全然疲れなかった、とヘラヘラしながらインタビューで語っていて、どうかしている。
「CURTAiN CALL」はこんな歌詞だ。
「もう終わり?足りないよ。まだまだ歌えるから」
「お願いさ 死ぬまで歌わせてよ 今日はここまでなんて 帰りたくない」
いや、このモンスターたちはきっとどんなに歌っても死なないだろう。