「豪の部屋」とは吉田豪がホストを務める動画配信サービス「SHOWROOM」の番組。
その日はさくらという女性がにこやかにしゃべっていた。EMOEというアイドルグループのメンバーだそうだ。
EMOE(エモエ)はエモ(Emotional)と萌えの化学反応がコンセプトだという。へちとさくらとみやちの3人組だけど、みやちは活動休止中。
へちがボーカル&ダンス担当で、さくらはラップ&ダンス担当。
さくらは歌えないのだそうだ。歌えないのにアイドル? そこでプロデューサーがラップ担当を提案した。
へちは歌がうまい。並ぶと容姿も比べられちゃう、とさくらは弱音を吐く。酔っ払ってShowroom配信することもあった。ちょっとネガティブだけど「へちゃんを一生面倒見る」と変に頼もしい。「へちゃん」はへちのこと。さくらはこのグループのマネージャーも担当している。
気になって検索したらYouTubeにMVがあった。
エレクトロなサウンドに力みのない語るようなへちの歌声。サビでは高らかに歌い上げる。歌唱力が髙い。訴求力がある。
さてさくらのラップパート。ラップというよりポエトリーリーディングか。
ごく日常的な言葉が、豊かな抑揚で語られる。ねえ聞いて、とダイレクトに僕に語りかけてくるような気がして胸が高鳴った。
アルバムをダウンロード購入した。「Negative」というタイトルだ。
「ネガティブ」はEMOEの気分をうまく表している。
「ポジティブ」は時々うざい。自己実現、スキルアップ、夢、挑戦、生きがい……。それはそれでいいことだけど今は勘弁して。
ネガティブでいいじゃん。近田春夫に言わせれば『調子悪くてあたりまえ』だ。近田の自伝のタイトルであり、同名の楽曲もある。
元気ないのが普通だし、なんだかちょっと悲しいのもいつも通りだし、自信ないし諦めてるしくよくよしてる。
ネガティブが普通。ネガティブこそ素直。「ネガティブ」を大切に生きたい。
ここんところEMOEの「Negative」ばかり聴いている。だいぶ染み込んできた。