草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

桐生ちあり「東京」のMV。他人に運ばれていた立場から飛び降りて自分で歩き出した3人が再会して光り輝く話

YouTubeで「桐生ちあり / 東京 (2021 Remaster) 」というMVを観た。

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深夜の街。通行人がいない。モノクロの映像。

カートに若い女性が載せられていて、それを何者かが押している。女性は声を上げて泣いている。彼女が着ている白いドレスには電飾がついていて光っている。彼女は商品なのか。このあとどんな悲劇・惨劇が起こるのか。

やがて女性はカートから飛び降りて走り出す。映像に色がつく。

彼女はビルの階段を駆け上がる。通路を踊りながら笑いながら走る。自由を謳歌するように。

前方に赤い服の女性。シャボン玉を吹いている。

彼女からシャボン玉を受け取って、走り踊る女性もシャボン玉を吹く。

カメラが振り返ると赤い服の女性はかすかに微笑んでいた。

以上がワンカット長回しで撮られている。

カートに乗っていた女性は愛わなびという俳優。最後に登場した女性はこの歌の歌手、桐生ちあり。このMVの監督はしののめしなの。この3人はかつてSummer Rocketというアイドルグループにいた。3人は2016年、結成と同時にメンバーになり、2018年に同時に脱退した。

Summer Rocketは今も活動しているが、Wikipediaを見るとこれまで15人も卒業・脱退している。

さて、愛わなびは俳優としてCMや映画に出演している。去年はクラウドファンディングでカセット付き写真集を制作した。最近所属事務所を退所したと発表した。

桐生ちありは、歯科衛生士をしながらソロ歌手として活動している。さきごろインディーズで2枚のCDアルバムを同時にリリースした。

しののめしなのは映画の助監督をしながら、自分で映像を作る意欲に燃えている。

この3人がSummer Rocket脱退後に3年ぶりに集まって、MVを作り上げたのだ。

もしかしたらSummer Rocket時代は、乗り物に載せられて大人に運ばれているような立場で、つらい思いをしたこともあったのではないだろうか。

でも今では3人とも自分で歩き、走っている。その3人が再会し力を合わせて1つの作品を作り上げた。だから光と笑顔が取り戻せたのだ。

そう 僅かな光集めて

ひとつになったなら 愛と希望

今神様に祈る

東京の闇に消える前に

夢から醒めて

(「東京)より)

「東京」という曲、最高です。山下達郎の「LOVE SPACE」を彷彿とさせる。16ビートと浮遊感。

作編曲はthat's all folksという人で、桐生ちありの多くの曲を作っている。いろいろなタイプの曲があって、どれも素晴らしいです。
いい人を見つけたなと思ったら、that's all folksほうから桐生ちありに作らせてくれと申し出たらしい。

桐生ちありは素朴に語るように歌うときもあるし、高らかに歌い上げて聴くものの胸を突き刺すこともできる。歌唱力が底知れない。that's all folksのメロディーは桐生ちありの声を最大限に活かしていると思う。

最近インターネットのライブ配信サービス「SHOWROOM」の「豪の部屋」(吉田豪がゲストからいろいろ聞き出す番組)にしののめしなのが出たのを見て、さらに見逃していた桐生ちありの回のアーカイブも見て、初めて彼女たちの存在を知り、魅了された。彼女たちの青春を垣間見たと思う。

桐生ちありは自信がない。歌も容姿もアイドル性もだめだと思っている。心の中にもうひとりのネガティブな自分がいて、しょっちゅうダメ出しをするらしい。でも友人やブレーンたちが励ましもり立てるし、ファンが見守っている。何より本人が歌いたいと思っている。ライブ動画での桐生ちありは生気に満ちている。

※桐生ちありのアルバム「日常」と「生活」は桐生ちありの通販サイトか、タワーレコードの通販サイトで買うか、Amazonレコチョクでダウンロード購入するといいみたいです。

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