草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

国際ハープフェスティバルで軽く打っても大きく鳴らす手拍子の方法を見つけた

11月15日(土)、草加市文化会館ホールに国際ハープフェスティバル2014フェスティバルコンサートに行ってきました。

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草加市レバーハープ・アンサンブル草加市音楽家協会の内田沙理さん(ヴァイオリン)、上地さくらさん(チェロ)、齋藤碧さん(フルート)のトリオ演奏、井上栄利加さんと新坂拡子さんのハープデュオ、イオン・ジョーンズさんのハープソロが楽しめましたが、ここではとくにピアニスト仲道郁代さんエーデルワイス・カペレの演奏について報告したいと思います。

仲道郁代さんは市民音楽講座のような、音楽の教養が豊かになるステージを披露してくれました。曲はショパン尽くしです。

1曲目のエオリアンハープを始める前に、曲の紹介をしてくれました。すなわち、エオリアンハープとは箱に弦を張ったような簡素なハープであること、窓辺に置いて風で音が鳴るのを楽しむ楽器だということです。

さて演奏が始まると、たしかに風のようなざわめきやうねりが聞こえてくるような気がするではありませんか。

2曲目の前に、ピアノとハープはルーツが同じだという話をしてくれました。

竪琴のような簡単な楽器が進化して、かたや張った弦を指で弾くハープのような楽器になり、かたや道具で弦を叩く楽器になったのです。後者はハンマーで叩くピアノに進化しました。

ピアノは88の鍵盤ですが、実は弦は約240本張られていて、20トンもの力がかかっているのだそうです。強大な力のこもった音が発揮される楽器なのです。そのピアノの能力をフルに使った曲が次の曲「革命のエチュード」。

鍵盤を縦横無尽に走る非常に速く細かい音の高低移動と激しいメロディ。たまたま僕が座った席から、グランドピアノの蓋の裏側に映るピアノ内部が見えました。ハンマーたちの動きが流れるように高速なウェーブを描いていました。

さて、仲道さんはピアノの音の性質について語りました。ピアノの弦はハンマーが打つものです。従って打った瞬間に最大の音がして、そこから音は消えていくしかありません。その儚さの中に美しさがあります。

その美しさが活かされた曲、ノクターンが演奏されました。

次は英雄ポロネーズですが、ポロネーズは「ポーランド風」という意味であり、ポーランド風の踊りという意味にもなるそうです。ショパンの祖国ポーランドショパンの生まれる前も死んだあともずっと占領されていました。ショパンは祖国を離れて活動していましたが、心臓はポーランドの土地に埋めてくれと言い残しました。そして実際にショパンの心臓は祖国に持ち帰られたそうです。

英雄ポロネーズ」はポーランド人に愛され、戦いの踊りの音楽として勇気の源になっているそうです。

そんな説明のあとに仲道さんの堂々たる演奏を聴いたら、胸の奥で魂が揺さぶられるような気がしました。

仲道郁代さんの演奏例:[HD] 仲道郁代 英雄ポロネーズ Chopin Heroic Polonaise Op 53(TRANSALP400VさんによってYoutubeに投稿された動画)
https://www.youtube.com/watch?v=GDHS_C33Usw

最後の出演はアルプス民族音楽エーデルワイス・カペレというグループでした。日本人グループですが、ヨーロッパで高い評価を受けており、ティロルを主な活動拠点としているのだそうです。

最初は男性3人が長い楽器を持って登場しました。アルプホルンという全長3.5メートルの楽器でした。

1曲演奏したら、3人はアルプホルンを置き、他のメンバーも登場し、6人編成のバンドになりました。

楽器はクラリネット、トランペット、アコーディオン、チューバ、ギター、そしてボーカルです。
ボーカルは女性で、朗々たる歌声です。基本は声楽家の声のようでした。でもヨーデルをやりまくります。

打楽器がないのに、チューバとギターとアコーディオンが軽快なリズムを生み出します。観客がノリノリで手拍子を打ちます。

次の曲では大きさがいろいろのクーグロッケン(カウベル)が20個ぐらい載ったテーブルを出してきました。

クーグロッケンを1個ずつ手に取り、持ち上げて振ると、ベルのように音が鳴ります。大きさが違うのでそれぞれ音程がちがいます。これでメロディが奏でられます。

ボーカルのマリアさんは、メロディの速い展開に合わせて次々と持ち上げては振りまくりましたが、それは曲芸のような鮮やかな技でした。かなり重労働らしく、終わったら息を荒くしていました。

そのマリアさんは曲によってはギターも弾くし、ほかのメンバーもギターからトロンボーンに持ち替えるなど、どんどん楽器を変えます。みんなマルチプレーヤーで高度な演奏家でした。

また、ギターと管楽器が作り出すリズムには、軽快さの中にも独特の粘りがあるように感じました。そしてテンポがだんだん速くなる曲もあって、手拍子するのがとても楽しくなっていきました。会場が熱くなり、ビールが飲みたくなってきました。

ところで手拍子に熱中しながら、軽く打っても大きく鳴らす手拍子の方法を見つけてしまいました。左手をちょっとくぼませて、くぼみの空気を右手で破裂させるような感じです。

エーデルワイスカペレの演奏例:エーデルワイスカペレ with MARIA Live at 神戸オクトーバーフェスト2012 (Part.1)(mms-studiot.com filmsさんによってYoutubeに投稿された動画)
https://www.youtube.com/watch?v=b0TqCvlu7qY

「これで1000円は安いよ!」とたまたま隣同士になった男性が話しかけてきました。全くその通りです。たっぷり楽しめてこの値段はお得です! なのに空席が目立ちました。今年行かなかった人に、来年は行ったほうがいいと話したいと思います。