7月25日(土)と26日(日)の2日間、東武スカイツリーライン草加駅西口は「よさこいサンバフェスティバル」で賑わいました。
「東武よみうりウェブ版」の記事「8万人でにぎわう・「よさこいサンバ」」によると、「よさこいには、地元の連や近隣市、県内外から33団体、サンバには ~中略~ 11チームが参加」したとのこと。合計44団体です。また「8万人の人出で賑わった」そうです。
さて、この「44団体、8万人の人出」という規模は、果たしてどのくらいの大きさなのでしょうか。
実は、このフェスティバルの1日目、25日(土)は隅田川花火大会が開催された日でもありました。
「スカイツリーそばに鮮やか大輪 隅田川花火に96万人」という朝日新聞の記事がありました。
関東を代表する夏のイベントと比べるのも酷かもしれませんが、よさこいサンバフェスティバルの集客に影響はあったかもしれません。
実はこの土日に、柏市では「柏まつり」が開催されました。こちらはよさこいのチームも出演もありましたが、それはメインではなく、ステージやパレードでいろいろな出し物があるイベントでした。ねぶたが有名だそうです。「毎年70万人の人出がある」とWikipediaの「柏まつり」の項に記されています。隅田川花火に対抗してなかなかの人出と言えそうです。
草加最大のお祭りは「草加ふささら祭り」でしょうか。昨年の草加ふささら祭りは「30万人のお客様にご来場いただきました」だそうです。
そのふささら祭りの目玉が「踊るん♪よさこい」。よさこいチームは、パンフレットを見ると44組出場したようです。
さて、よさこいサンバフェスティバルの翌週の金土日の3日間、朝霞市では朝霞市民まつり「彩夏祭(さいかさい)」が開かれました。「約65万人もの方が来場する大きなお祭り」と公式サイトに記されています。
そしてこのお祭りのメインイベントは「関八州よさこいフェスタ」。96組のよさこいチームが集結しました。草加からも「チームふささら彩祭」という合同チームが初出場したようです。
朝霞市民まつり彩夏祭は、草加で言えば、夏のよさこいサンバフェスティバルと秋のふささら祭りを合体して、市民のパワーを集中したような祭りと言えそうです。
それぞれのイベントの参加団体(よさこいやサンバ)数と観客動員数はこんな感じ。
- よさこいサンバフェスティバル(7月)44組参加 8万人
- 柏まつり(7月) - 70万人(柏市人口 410,495人)
- 彩夏祭(7月末~8月) 96組参加 65万人(朝霞市人口 134,680人)
- 草加ふささら祭り(11月) 44組参加 30万人(草加市人口 246,370人)
草加市、朝霞市、柏市の人口も見比べてみると、朝霞市の頑張りがわかるような気がします。
以下、主だったイベントの参加団体数と観客動員数です。
- YOSAKOIソーランまつり(6月中旬)約270組参加 200万人
- 高知よさこい祭り(8月中旬) 190組参加 100万人
- 徳島阿波おどり(8月中旬) 100組参加 135万人
- 原宿スーパーよさこい(8月末) 100組参加 85万人
- 南越谷阿波踊り(8月末) 76組参加 70万人
- 浅草サンバカーニバル(8月末) 20組参加 50万人
- 東京高円寺阿波おどり(8月末) 107組参加 100万人
札幌のYOSAKOIソーランまつりって凄い規模だったんですね!
今年のよさこいサンバフェスティバルでは、浅草からきた仲見世バルバロスを追いかけていました。浅草サンバカーニバルの最多優勝チームだそうです。
パーカッションだけで100人近くいたようです。その響きはすさまじく、スマホで動画を撮ったのですが、音が割れてしまっていました。
それぞれのパーカッションの種類ごとに独自のリズムパターンを演奏しますが、そのパターンに応じた腕の振り、上体の揺れ、ステップが演奏者から繰り出されます。それはダンスです。つまり、スルド(大太鼓)はスルドのダンス、小太鼓は小太鼓のダンス、ショカーリョ(小さな円盤が複数ついたもの)はショカリーニョのダンスを、タンボリン(片手の小太鼓)はタンボリンのダンスをしながらパレードするのです。
人数が多いと、全体にリズムに揺らぎが起こります。そもそも小太鼓(カイシャ)を初めとして、サンバのパーカッションは単独でも独特の引きずるような奏法なので、100人でやると引きずりまくりになります。そのビートが生体を細胞レベルから揺らすサンバのグルーブなのだと思います。
ふと思ったのですが、サンバはブラジルのヤンキーではないだろうか。
以前、よさこいとヤンキーの関係について「草生人」で書きました。
ヤンキーは「今・ここ」を肯定するメンタリティだ。八百万(やおよろず)の神々がいる日本は、どこも神聖な場所であり、つまらない地元もすばらしい故郷たりうるのだ。これがヤンキーが地元で踏ん張って幸福を追求する動機なのかもしれない。
最近草加のよさこいチームの関係者と話す機会が多い。彼らはみな仕事に熱心な市民であり、またまちづくり、まちおこしの活動にも情熱を傾けるきわめてまじめな大人たちだった。彼らはよさこいを通して街を元気にしようと真剣に考えている。よさこいに燃えるとき、自分の中のヤンキー魂に出会うのだろう。ヤンキーこそ地元の仲間がひとつになる共通の精神なのだろう。
サンバの母体はエスコーラ・ジ・サンバという組織です。カーニバルには1000人以上、エスコーラによっては5000人以上で参加するそうです。エスコーラはチームというより、ほとんど共同体です。1年をサンバのために費やします。パレードのストーリーを作り、曲を作り、ダンスを作り、衣装を作り、練習していくうちに1年が経ち、カーニバル当日に臨むのです。エスコーラは市民たちが交流しまちを盛り上げ幸福を追究する足場なのです。
よさこいで団結して地元で踏ん張って、まちおこししようと奮闘するヤンキーたちの姿がグレードアップし切った形が、エスコーラ・ジ・サンバなのではないでしょうか。
そういう意味でも、よさこいとサンバをいっしょくたにした草加駅西口は正解なのかもしれません。
ただ、「YOSAKOIソーラン」によって、よさこいとソーランが合体したように、よさこいとサンバが合体して渾然一体となった姿も見てみたいものです。