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草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

横倒し写真展

草加 音楽・芸術

FACEBOOKにおいて、「逆さ写真シリーズ」につづいて、昨年10月から「横倒し写真シリーズ」を始めました。

塀、フェンス、壁などが道路に沿ってゆったりと描くカーブが、頭を傾けて見ると、急激な上り坂コースに見えてきて目眩に襲われる、という法則を発見したのでした。

草加市内の素敵な目眩を一挙に公開します。

1.松原公園のブロック塀

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手前の水平状態から急激な勾配に突入します。行く先が日陰で視界が悪くなるのも不安感をあおりますね。(2016年10月16日)

2.草加市松江の果てしないハシゴ

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道路沿いのパイプ状のフェンス。横倒ししたら、果てしなく登り続けるハシゴになりました。ジェットコースターのレールを連想すると、ガラガラと登る音が聞こえてきそうですね。(2016年10月19日)

3.草加市松原の果てしないレーシングコース

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ガードレールを横倒ししたら、ミニ四駆のコースみたいになりました。向こうに獨協大学が見えます。(2016年10月20日)

4.草加市西町、柳島治水緑地の断崖絶壁。

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ガードレールの濃い茶色と可憐なコスモスのオレンジ色の対比は鮮やかなのですが、透けて見える空間の高度感が怖いです。(2016年10月21日)

5.草加市松江。古綾瀬川の断崖絶壁

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綾瀬川沿いに設置されたフェンス。この坂道を、ところどころひしゃげた鉄棒を踏みしめながら歩くことを想像するとちょっと震えるかもしれません。(2016年11月1日)

6.松江草加市文化会館の庭

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11月3日、草加ふささら祭りの会場の一つとしてにぎわっていた草加市文化会館の脇の庭に歩み入ると、竹細工風の塀がありました。この坂道(塀)の向こうに樽茶屋があります。(2016年11月3日)

7. 綾瀬川左岸広場にて

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綾瀬川左岸広場の水遊びエリアに建つ塀。水が流れた状態で横倒ししても面白いでしょうね。ところで左岸広場はサガン広場と書くと、『悲しみよこんにちは』のフランソワーズ・サガンと関係ありそうに見えてうれしくなります。(2016年12月3日)

8. 綾瀬川左岸広場の縁石

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綾瀬川左岸広場の縁石。縁石なのですごく低いです。枯れ葉がちょっと寒々しい。(2016年12月3日)

 

以上です。逆さ写真よりも出会えるチャンスが少ないのが難しいところです。

 

 

逆さ写真展

草加 自然 音楽・芸術

川や池に映った風景の鏡像は美しい。よく写真の対象になります。だがその写真を逆さにしてみると不思議な感覚に襲われます。鏡像だったはずの景色が実像として立ち上がっているのです。しかしその実像は細かく揺らいでおり、現実感がぼやけ、幻想がまとわりついている。

そんな写真を6月からFacebookに断続的に投稿してきました。だいぶたまったので、ここで一挙に見直してみたいと思います。

 

1 手代町の綾瀬川

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草加市手代町付近、綾瀬川の対岸、八潮市側からの風景を逆さにしてみました。上が実像で下が鏡像と認識してしまいますね。ところが実像がぼやけているのに、鏡像が鮮明で存在感が強くなってしまっている。(6月3日掲載)

 

 2 綾瀬川の和舟1(6月13日)

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綾瀬川に浮かぶ和舟の写真を逆さにして見ました。幻想的な舟の旅。彼らは現実に戻れるのでしょうか。(6月13日掲載)

 

3 綾瀬川の和舟2

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人物の輪郭がますます崩れ、冥界に消えていきそうです。

 

4 綾瀬川の和舟3

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  色彩が淀み存在感が薄れていく舟の乗客たち。

 

5 葛西用水の桜

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2015年4月に草加市稲荷の葛西用水の桜を撮った写真を、逆さにしてみました。花びらが舞い上がっているように見えます。

 

6 毛長川1

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草加市と足立区花畑の境界、毛長川に写り込んだ風景を逆さにしました。水中もいい天気です。(6月14日)

 

7 毛長川2

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滲み方が水彩画のようです。

 

8 神明排水機場

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草加市神明の神明排水機場。(6月18日)

 

9 埼玉県立近代美術館

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埼玉県立近代美術館の庭園です。(6月21日)

 

10 埼玉県立近代美術館

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歩いている少年の手元から、小さな波が起こりはじめています。(6月21日)

 

11 越谷市大吉調整池1

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埼玉県越谷市大吉にある、新方川の水量調整のために作られた池の周辺です。水門設備を越えて架かった橋が、水たまりに映り込んだ情景。上のほうがブツブツしています。(7月24日)

 

12 越谷市大吉調整池2

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世界が暗黒に覆われようとしている。

 

13 水たまりの草加小学校

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ゲリラ豪雨でできた水溜まりに映った草加小学校の校舎。淡く霞んだ現実をくっきり鮮やかな鏡像が支えているような、虚実が転倒した世界。魔法の学校だ。(8月21日)

 

14 矢立橋(やたてばし)

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草加松原遊歩道沿いに架かる太鼓橋状の歩道橋「矢立橋」。上下合わさって唇のようです。(9月2日)

 

15 浅草寺

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浅草寺の水たまり。雪が降っているかのように見えるのはアスファルトが透けて見えるせい。(9月23日)

 

 16 越谷市大吉調整池にて

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左下に走る少女が。幻想世界から逃走しているのだろうか。(9月26日)

 

17 秋の空

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泡が浮かんだ海面の空撮か。(10月7日)

 

18 浮遊物体

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草加市手代町の綾瀬川。ゴミの固まりが浮遊している。(10月27日)

 

19 駐車場の水たまり

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草加市内の月極駐車場で大きな水たまりに映る風景を撮影していたら、駐車場管理者から「何してる?」声をかけられた。水に映る風景がきれいだと話したら「なるほど」と言ってくれた。さらに「小鳥がきたらもっといいかもな」と。(10月31日)

 

20 池に映った校舎1

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草加小学校にて。漂う枯れ葉。(11月26日)

 

21 池に映った校舎2

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舞い上がる枯れ葉。

 

22 池に映った木

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草加小学校の池に映った木はすっかり秋の色でした。

 

23 綾瀬川

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草加市綾瀬川にて。快晴でしかも川面は波1つありません。松並木の北の端に、独特の形に枝が分かれている松があります。(12月3日)

 

24 古利根堰

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越谷市大吉と松伏町松伏との境の古利根川にある水門。古利根堰。胸を張って連帯して防衛しているように見えます。12月4日

 

25 アコスエスカレーター

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草加駅前のショッピングビル「アコス」の狭いエスカレーターです。両サイドが鏡になっています。
なんだかよくわからないけど未来っぽくなりました。(12月7日)

 

 

板金屋さんは銅製のゴジラを作っていた

草加
 草加市中央の細い裏道を歩いていました。いやいや裏道なんて失礼です。その昔、葛西道と呼ばれていた重要な道路なのだそうです。
 その通り沿いに「銅仁板金(どうにばんきん)」という建築板金の会社がありまして、窓ガラスの内側に展示されているちりとりがシンプルでいいなと前から思っていました。
 今日は壁面の銅板打ち出しの看板にふと目がいきました。松の枝から鷹が下を睨む、かっこいいい絵柄だったのです。

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 ↑  銅仁板金の看板レリーフ

 立ち止まって写真を撮っていたら、ちょうどそのとき年配のご主人(社長さんでしょうか)が出ていらっしゃったので、思わず挨拶しました。
 僕は展示されてるちりとりについて尋ねました。
「あのちりとりは売り物ですか?」
「ああ売り物だよ。300円だ」
 なんという安さ! もっと立派なやつは1,000円とのことで、拝見したいと申し出てみたところ、中にどうぞと案内されました。
 階段を上がって2階の作業場に、立派なちりとりの在庫がたくさんありました。

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 ↑ 1,000円のちりとり

「これは木製の柄だけで仕入れに400円かかっている」
「それじゃ儲かりませんね」
 この1,000円のちりとりは、形も細部もたいへん美しくて欲しいなと思ったのですが、ちょっと置く所に困りそうだったので、300円のものを買うことにしました。
「それは1階だ」
 1階に戻ったらご主人は写真を見せてくれました。それは集合写真でした。ご主人は今80歳で、つい最近「傘寿(さんじゅ)」を祝って草加小・草加中の同窓会があったのだそうです。
 ご主人はつづいて銅の破片がたくさんはいったトレイと、ゴジラペーパークラフトの説明書を見せてくれました。
 これはいったいどういう意味でしょうか。

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 ↑ 銅板を切り抜いたゴジラの部品

「もしかしたら、銅板でゴジラを作るんですか?」
「そう!」
 ご主人は説明書の通りに、紙ではなく銅板を切り抜いて小さな部品をこつこつと作っているのです! すべての部品を組み上げていくと、銅製のゴジラの完成となるわけです!
 部品はトレイ2杯分ありましたが、ここまで切り出すだけで2ヶ月もかかったとのこと。ゴジラ本体の完成はいつになることでしょう。完成したら絶対見に来たいと思いました。
 表が茶色で裏がグリーンのちりとりを買って帰りました。角のギザギザの絞りがかわいいです!

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 ↑ 300円のちりとり

 

そうかバンドフェスティバル。出演アーティスト11組、6時間におよぶコンサートが開かれた。

草加 音楽・芸術

 

 9月24日(土)、草加のアコスホールで「そうかバンドフェスティバルVol.1」が開催された。

 出演アーティスト11組、6時間におよぶコンサートだった。

 このイベントの母体は、調布(東京都)で開催されている「ちょうふバンドフェスティバル」だ。キャッチコピーは「社会人バンドの発表会」

chofuband.com

 今年7月に第14回が行われ、なんと約7時間で18組が出演する大イベントになったようだ。

 そのイベントの草加出張版のような形で、今回「そうかバンドフェスティバル」が開かれた模様。

 以下、とくに気になったバンドについて書いていこう。

fujimi-guys--キラキラした80年代のバンドサウンド

 fujimi-guysは9人編成。ボーカルが5人(うち女性が2人)もいて、ずら~っとステージに立つ姿が壮観。メインボーカルが曲ごとに入れ替わり、それぞれの個性(クセ)を思う存分表現していた。

 演奏曲は、CHAGE and ASKA八神純子ゴダイゴORIGINAL LOVEなどの曲のカバー。キラキラした音で、80年代のバンドサウンドを思い出した。

 キーボード担当が井坂治さんといって、そうかバンドフェスティバルと、母体となったちょうふバンドフェスティバルのプロデューサーである。井坂さんはこの日TWDOOBというバンドでもキーボードを弾いていた。

 ボーカルのTAKAKOさんとYUKOさんも複数バンドの掛け持ちをしていた。

 バンドの掛け持ちって、大学の軽音楽部を思い出す。ちょうふバンドフェスティバルとは、大人の軽音楽部なのかもしれない。

参考動画:【fujimi-guys】パープルタウン(Cover)@SBF01(そうかバンドフェスティバルでの演奏)

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お玉バンド--MCでのギャップも含めてプロフェッショナルなエンタメ

 お玉バンドは親子だっていうからすごい。ギターがお父さんでボーカルが息子。お父さんは長髪と髭とサングラスで、バンドマンのなれのはてみたいなオーラが漂う。息子はガタイが大きくちょっと耽美的なムード。

 オリジナル曲のバックトラックを流しながら、ギターとボーカルの華麗なテクニックを披露する。

 ボーカルは氷室京介とかB'zとかにも似たちょっとしゃくれた節回しで、なかなか男前な歌い方……、のはずが、MCで脱力してしまった。ちょっと北関東の訛り。高い声で早口でおどおどした感じなのだ。歌ってるときは大物っぽいけど、MCでは小物感丸出し。なんだ怖い人じゃなくていい人なんだ。

 そのギャップも含めて、素晴らしいステージパフォーマンス。オリジナル曲の組曲的構成力もすごいし、エンタメとしてプロフェッショナルだ。

参考動画:不埒な衝動 / お玉バンド

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CROSSROAD--ウエストコーストロックで青い三角定規

 CROSSROADアコースティックギターストロークが効いている。また女性1人と男性2人がコーラスで頑張っているところも特徴。伸びやかなサウンドはアメリカのウェストコーストロックみたいだ。CSN&Yとか。

 オリジナル曲は意外とウェットなメロディーと歌詞で、女性ボーカリストがメインになると、70年代のフォークグループ、青い三角定規を思い出してしまった。

参考動画:CrossRoad 横浜ハーバーライン @そうかバンドフェスティバル

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Swingy Velvet--八神純子荒井由実を同時に歌う!

 Swingy VelvetTAKAKOさんとYUKO女性2人のデュオ、。ガット・ギターのMacchanがボサノバでサポート。ギターも歌もやたらうまい。ハーモニーがとてもきれい。

 音楽的技術の高さを思う存分発揮したのが、「思い出は美しすぎて」(八神純子)と「あの日に帰りたい」(荒井由実)を混ぜて歌ったパフォーマンス。

「コード進行が同じなのでやってみました」とのこと。

 1人がメインになって「思い出は美しすぎて」を歌い、2コーラス目でもう1人がメインで「あの日に帰りたい」を歌ったが、あまりに自然で曲が変わったことに気づかなかった。ついには2曲を同時に歌ってみせた。完全に1曲に溶け合っている!

参考動画:思い出は美しすぎて~あの日に帰りたい(そうかバンドフェスティバルにて)

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 ちなみに大滝詠一キングトーンズのためにプロデュースした「ラストタンゴはヘイ・ジュード」という作品がある。

 ポール・マッカートニーが「ラストダンスは私に」を聴きながら「ヘイ・ジュード」を作曲したというエピソードをもとに、2つの楽曲をマッシュアップしてしまったのである。

キングトーンズ - ラストダンスはヘイ・ジュード (大滝詠一プロデュース)

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サイガース--これはパブ・ロックか

 コンサートの最後はサイガーが務めた。男性5人と女性1人の6人組で、この日唯一の草加市をホームとするバンドだ。

 草加市ではいろいろなイベントに出演するのでおなじみ。2015年の草加ミュージックフェスティバルで、アマチュアバンドの人気投票「第1回総選挙」で優勝したチーム。

 前に座っていたおそらく調布から初めて草加に来た客の会話が聞こえた。

サイガース見たことある?」

「いや初めて」

「見ておいたほうがいいよ」

「ほお、楽しみだ」

 さて、以下は演奏曲目にちょこっと調べた情報を付け加えて紹介する。

 1曲目めはいつものサイガースのオープニングテーマ、「Steppin'out」。突進力のあるナンバーだ。剥き出しのゴリゴリしたギターの音で、こいつらタダモノじゃないぞ、と知らしめる。

 この曲は1960年代後半にエリック・クラプトンクリームがカバーした曲だが、もともとはメンフィス・スリムが1959年にリリースしたブルース。ブルースからハードロックに変身した曲だ。

 2曲めはクラッシュの「I Fought The Law」。1977年のパンク。

 続いて「born to be wild(ワイルドでいこう!)」はステッペンウルフの1968年のロック。アメリカン・ニューシネマの代表映画「イージーライダー」で使用されて大ヒット。

The Dock Of The Bay」は1968年、オーティス・レディングのソウルの名曲。

Stand By Me」は1962年のソウル歌手ベン・E・キングの作品。

 そして「Daydream Believer」。アメリカのアイドルグループ「モンキーズ」の1967年のポップ・ロック。最後のところで日本のタイマーズ忌野清志郎が歌った日本語歌詞が歌われる。

「僕はデイドリーム・ビリーバー。そんで彼女はクイーン」

 そして「ジョニー・B.グッド」は、1958年に出たチャック・ベリーの不滅のロックンロール。

 最後の「監獄ロック(Jailhouse Rock)」は、エルヴィス・プレスリーの1957年の大ヒット曲。

 これらの曲の時代は1950年代から70年代。ジャンルはブルース、ソウル、パンク、ハードロック、ロックンロール、ポップ・ロックなどにまたがってるが、間違いなく各ジャンルを代表する不朽の名作たちだ。

 オーティス・レディングもクラッシュもモンキーズもレパートリーにしているバンドってなかなかないだろう。だがサイガースがやると、どれも男臭いロックンロールになってしまう。

 荒削りでリラックスしていてカッコつけてて、やたら(酔った)客にウケるバンド。

 そういうのって「パブ・ロック」なのではないだろうか。70年代を中心にイギリスのパブで労働者たちに聴かれていた百戦錬磨のごついロックだ。

 さて「ジョニー・B.グッド」を歌ったころには、ツイストやりだす客が出てきた。とうとうステージに上がって踊るスーツの男が出るほどの盛り上がりになった。

 そのスーツの男は曲が終わったら一礼して降りようとしたが、メンバーが「ケンジさん、そのままそこにいてください」と、サングラスの強面に似合わない丁寧語でお願いして、ケンジさんは最後の「監獄ロック」をいっしょに歌った。

 調布勢のキラキラしたサウンドや洗練されたボーカルテクニックに対し、草加代表が荒削りなパブ・ロックなのが小気味いい。

参考動画:サイガース 第11回 草加ミュージックフェスティバル

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浅草活弁祭り--「瞼の母」は撮影も編集もシャープでかっこいい

芸能 音楽・芸術

 9月22日から24日までの3日間、浅草木馬亭「浅草活弁祭り2016」が開催されていました。

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 草加市在住の活弁麻生八咫(やた)さんとその娘さん麻生子八咫(こやた)さんが、次々と名作サイレント映画活弁をつける、「映画ライブ」のイベントです。毎年やってます。

 23日(金)の午前中に行ってきました。

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 最初に麻生子八咫さんの活弁バスター・キートンの短編を活弁で上演しました。

 キートンを追いかける警察官たちの人数があり得ないほどでした。広い道路を埋め尽くすほどなんです。そこから逃げる逃げる! 笑うというより驚きの連続の映画でした。

 子八咫さんは20年前1996年の9月15日に、ここ浅草木馬亭デビューしたのでした。そのときなんと10歳!

 それから20年なので、今は30歳です。もう円熟の域でしょうか。現在東京大学大学院博士課程に通っている才女で、博士論文執筆のため活弁は今回を持ってしばらく休止するそうです。論文のテーマは「活弁」だそうです。

 そして麻生八咫さんの登場です。映画は瞼の母。初めて見ました。1931年の稲垣浩監督作品で、片岡千恵蔵が主演。山田五十鈴も出演して可憐な表情を見せていましたが、ええ? 当時14歳!? 天才ですね。

 江戸時代の話でした。若い旅の博徒が生き別れた母親を探すために江戸に向かいます。とうとう母と会えたのですが……。

 麻生八咫さんが1人で全出演者の声を出していましたが、映画の面白さに熱中して、活弁士の存在をほとんど忘れていました。映像の力もありますが、麻生さんの技術の高さによるところも大きいと思います。女性の声も、男性のさまざまな個性の声も使いわけていて、なのに活弁士がんばってるな」と思わせないほど、声が映像に自然に溶け込んでいました。

 また、舞台右袖には後藤幸浩(ゆきひろ)さんという薩摩琵琶奏者がいて、映画の伴奏をリアルタイム生演奏で行っていまいした。場面に合わせて風の音、乱闘の音、悲しみの音など様々な音色を弾き分ける琵琶の表現力に驚きました。琵琶は形も美しかったです。

 さて、映画がとても面白かったことを強く訴えたいです。

 内容を知らずに臨んだので、なんとなく親子の情をしっとり描く、舞台劇をそのまま撮影したような地味な作品ではないかと思いこんでいました。

 ところが、情愛はもちろん深く描いているのですが、アクションもたっぷりなんです。そして撮影や編集もシャープでかっこいい。85年も前(!)の映画なのに新鮮さがありますよ。まあ画質はひどいですけど。

 編集のシャープさは、たとえば、生き別れの息子にせっかく会えたのに追い返してしまった母を、娘が問い詰める場面の、母と娘の過剰な回数の速い切り返し。「おっかさん!」「……」「おっかさん!」「……」「おっかさん!!」

 その生き別れの息子(片岡千恵蔵)がごろつきどもと刀で死闘を演じる場面と、息子を探して籠を走らせる母と娘の場面を交互に見せる緊迫感。速く速く! 籠の場面は足元だけ撮影して、しかもカメラが傾いている。もっと速く! 

 現代の映像作家たちは、サイレント映画を見直すとずいぶんと勉強になるのではないでしょうか。えらそうにすいません。

 

日本の響 草加の陣~会場中が熱いお祭りのパッションに

イベント 音楽・芸術 草加

9月10日(土)14時~18時30分、草加市文化会館ホールで「日本の響 草加の陣 邦楽のパイオニア達の共演」が開催されました。

プログラム

 一噌幸弘(いっそゆきひろ)の速流笛破(笛)

 AUN&HIDE(邦楽ユニット)

 中村明一 FOREST(尺八)

 林英哲(太鼓)meets 木乃下真市(きのしたまいち)(津軽三味線

 伊藤多喜雄 - TAKiO BAND

 司会:ピーター・バラカン(音楽評論家)、田中隆文(邦楽ジャーナル編集長) 

  5月27日にここ草加市文化会館ホールで、このコンサートのプレイベント(記者会見)があり、出演者であり企画や人選にも尽力した中村明一さんがコンサートの意義を説明してくれました。

 中村さんは「革新的なことをどんどん進めてきた人たちをここに一堂に集まってもらって、歴史的なコンサートをしようという企画で始まりました」と述べていました。

jitsuni.hatenablog.com

 それからずっと待っていたこの日がついにやってきました。

 司会を務める邦楽ジャーナル編集長の田中隆文さんと音楽評論家のピーター・バラカンさんが、出演者の交代のタイミングごとに登場して、アーティストたちの紹介やエピソードを軽妙な掛け合いで披露していました。

 ピーター・バラカンさんがまず発したのは「邦楽とはなんですか?」という問いでした。バラカンさんは「邦楽とはJポップのことですよね」と言いました。たしかにそうですね。日常的な用語では、洋楽に対する邦楽という意味です。オリコンでも「邦楽シングルリリース」というように使われていますね。

 ここで使われる邦楽という言葉は日本の伝統音楽のことです。ただし田中編集長によると、ここ30年で邦楽は変わった」のだそうです。そして「変えたのがこの6組」(田中さん)。期待が高まります。

一噌(いっそ)幸弘の速流笛破。傾(かぶ)く精神を発揮

 最初に登場したのが「一噌(いっそ)幸弘の速流笛破」。

 一噌さんは「安土桃山時代より続く能楽一噌流笛方、故一噌幸政の長男」(パンフレットより)。能管、田楽笛、篠笛、リコーダー、つの笛など、古今東西あらゆる笛を駆使するテクニシャンです。

 最初は大鼓(おおつづみ)と小鼓(こつづみ)の2人を従えて、能管による能楽古典を披露しました。大鼓(おおつづみ)の甲高い金属的な音や掛声が印象的でした。ちなみに小鼓のほうが音程が低いのが面白いです。

 2曲目からそこにメンバーが3人加わりました。ヴァイオリン、ベース、タブラ(インド音楽の打楽器)です。

 7拍子など変拍子の曲で、古典邦楽的でもありジャズやクラッシックの要素もありました。

 一噌さんの笛のアドリブパートがびっくりでした。フレーズが細かい! 速い! 随所に高く強い破裂したような音が入る。ジャズのテナーサックス奏者、ジョン・コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」と呼ばれる敷き詰めるように吹きまくる奏法を連想しました。能管という音程が不安定な特殊な笛でこれをやるためには相当の修養が必要なのだそうです。

 真面目なのかふざけているのか、同時に5本の笛を吹く場面もありました。右手と左手に2本ずつリコーダーと何か縦笛を持ち、テーブルに長い笛(ティン・ホイッスル?)が突き立てられていて、それらを同時に口に咥えて演奏するのです。ちゃんと和音やメロディーが出ていました。大喝采+大爆笑でした。

 ただし一噌さんは笑いません。ご本人は真剣な音楽的追求をしているのだと思います。

 ピーター・バラカンさんが、複数の楽器使いの先駆者としてジャズ・サックス奏者ローランド・カークを紹介してくれました。

 あとで調べたら実は一噌さんはローランド・カークを超えたい」という動機からこの技に挑むようになったそうです。そんな人だから、もしかしたらジョン・コルトレーンも意識しているのかもしれません。

 求道的で過剰、つまりやり過ぎなのが一噌さんの素晴らしさだと思いました。

 日本の伝統芸能がもともと有している種子、奇をてらい傾(かぶ)く精神を思いっきり発揮していると思いました。

参考動画:一噌幸弘IssoYukihiro/田楽ティハイDengaku-Tihai

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AUN & HIDE。邦楽は大衆芸能

 2番手はAUN & HIDE

 AUN井上良さんと井上公平さんという双子の和太鼓奏者のコンビ。HIDEさんは鳴り物奏者です。井上兄弟は鬼太鼓座(おんでござ)出身、HIDEさんは鼓童出身だそうです。そこに尺八と津軽三味線のサポートメンバーも加わります。

 基本ポジションは、良平さんと公平さんが左右に分かれてそれぞれ大太鼓や桶胴太鼓、締太鼓のセットを叩き、その中間にHIDEさん立ってチャッパを叩くという形でした。

 チャッパというのは、シンバルを小さくしたような形状の金属の打楽器です。打ち合わせたりこすり合わせたりします。そのチャッパからHIDEさんは本当に多彩な音色を叩き出します。大きく腕を振って打ったり、細かく刻んだり、2枚を微かに接触させてジーと持続音を出したり……。そうしながら華麗に舞ったり腰を低く落としたりと、目が離せませんでした。チャッパは実に自由な楽器です!

 さてAUNの井上兄弟はマルチ和楽器奏者で、太鼓のほか、津軽三味線や篠笛などもこなしていました。2人による津軽三味線対決もありました。

 2人が並んで交互に高度な技を披露するのですが、1人が喝采を浴びて勝ち誇ったような顔をすると、もう1人が不機嫌な表情を浮かべて、自分の番ではもっと派手なテクニックを披露します。

 そのうち1人が、三味線に熱中している相手の背後に回りました。何をするのかと思ったら、やおら相手の三味線の棹に手を添えて、弦を押さえたのです。そして、高音部と低音部を分担して素早い指さばきを見せたり、津軽三味線独特の手を滑らせて大きな音階移動をする動きを交代で見せたりしました。

 最初は撥(ばち)は1人でしたが、そのうち2人で同時に撥を使いました。三味線の連弾です! フォスターの「草競馬」をやったりしました。客席は笑いと手拍子が沸き起こりました。

 まさに曲芸です。邦楽の大衆芸能の側面を見たと思いました。

参考動画:AUN&HIDE LIVE 2015 (Full Live Show)

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中村明一 FOREST。プログレッシブ・ロック邦楽

 田中編集長によると、尺八の中村明一さんは高校生時代まではバンドでエレキギターを弾いていて、ノイズを愛していたそうです。そして尺八を聴いたときに「尺八のノイズはギターよりもすごい!」と魅了され、習い始めたのだとか。

 FORESTは中村さん以外に5人の編成。6弦ベース、ハープギター(ギターにハープのような弦がついている)、琴(25弦)、キーボード、そしてドラムです。

 最初は中村さんの尺八だけで、虚無僧の音楽を演奏しました。複数の音が同時に聞こえる場面が随所に現れました。森の中で風や鳥などの自然の音を聴いているような感覚に襲われました。

 FORESTの演奏では、いろいろなことが起こっていました。琴奏者の女性のどこかの民謡のような歌声、ハープギターの繊細な音色、ドラマーがディジュリドゥ(オーストラリア先住民の楽器。本来長い真っ直ぐな筒のはずが曲がりくねっていた)を吹く場面も。

 そしてプレーヤーたちがいずれも高度な演奏テクニックを有していて、高速変拍子で一斉に複雑なフレーズを吹く、叩く、弾く! ものすごい緊張感で、頭が疲労してしまいました。

 これはジャズというよりプレグレッシブ・ロックかもしれません。実際、中村明一さんは、キング・クリムゾンの「ムーン・チャイルド」や、エマーソン・レイク・アンド・パーマーの「タルカス」を演奏したこともあるんです。動画サイトで見つけました。

参考動画:Magnetic Fantasy / Akikazu Nakamura FOREST 7/4,2014 LIve 中村明一・フォレスト

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木乃下真市。進化し続ける津軽三味線

 木乃下真市(きのしたまいち)さんは1986年と1987年の津軽三味線全国大会で2年連続優勝を成し遂げ、2000年津軽三味線全国大会「山田千里杯」で初代グランドチャンピオンを獲得するなど、日本の巨大な津軽三味線ピラミッドの頂点に位置するアーティストです。

 津軽じょんがら節の撥を叩きつける音はほとんど打楽器ですね。全拍にアクセントがあるので、特定の拍にアタックをつけるロックやポップスのビートと発想が異なります。太鼓の連打に通じるでしょうか。だから津軽三味線と和太鼓の競演はごく自然なのだと思います。

「カンカンカンカン!」という衝撃音が反響して後ろから聞こえてくるように感じてきて、酩酊感を催します。

 演奏が激しさを増すと拍手が起こりますが、その拍手はたいていまだ気が早くて、そのあと演奏がもっと激しくなります。

 田中編集長が言うには、津軽三味線は基本的に即興で、そして「常に変化している。常に今。師匠の真似をしてはいけない」のだそうです。つまりこれもまた進化し続ける(プログレッシブな)伝統芸術。

津軽じょんがら節/木乃下真市

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林英哲 & 英哲風雲の会。30年前から邦楽界に大きなショックを与えた

 林英哲さんは、鬼太鼓座鼓童という和太鼓の歴史にとって重要な2組の団体の創設に参加し、また世界初の和太鼓ソリストになった人です。ジャンルを超えて世界のトップアーティストと共演してきました。

 櫓に乗せられた大太鼓を叩く様子を見ると、林さんはしばしば左右の手を逆転させます。すなわち「ドコドコドコドコ」と叩くとき、たいてい「ド」が右手、「コ」が左手なのですが、林さんは時々「コドコドコドコド」と逆転させるのです。複雑で細かいフレーズでも。

 そして左右どちらでも強打が可能です。両手が利き腕になっているのでしょう。そのため撥さばきは変幻自在なのです。

 田中編集長の話で、1985年に宇崎竜童さんが林英哲さんといっしょに結成した、竜童組という和太鼓をサウンドの中心に据えたロックバンドが、邦楽アーティストたちに大きなショックを与えたというエピソードが紹介されました。この日共演した木乃下真市さんもそうだし、伊藤多喜雄さんも竜童組を見てくやしがったのだそうです。林英哲さんの影響力は本当に大きいのです。

 そして林英哲さんと木乃下真市さんのデュオが披露されました。木乃下さんが作曲した曲です。
 三味線と太鼓の掛け合いは、フルコンタクト空手の打ち合いのような、ストイックな激しさでした。邦楽は武道・格闘技との親和性が高いのではないでしょうか。

参考動画:林英哲 Eitetsu Hayashi & 木下伸市 Shinichi Kinoshita "-SHI-BU-KI-"

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伊藤多喜雄 & TAKiO BAND。被災地を思って歌えるのが民謡の良さ

 TAKiO BANDの構成は、尺八、ピアノ、ヴァイオリン、ドラム、ベース、津軽三味線が4人、コーラス、そしてボーカルが伊藤多喜雄さん。

 ほかの出演者に衣装では勝とう、とメンバー全員黒いスーツでキメてきて、「年取ったエグザイルです!」と自己紹介。

 1983年に結成したバンドです。民謡を現代の日本人に伝えるための、必然的なスタイルがこのバンドだと言えるでしょう。

 東日本大震災で被災した岩手を思って「南部牛追唄」を歌いました。また熊本地震に苦しむ人たちを思って熊本民謡を歌いました。こんなごく自然な当たり前のパフォーマンスで、聴き手の胸を打つのが民謡の良さだと思います。

 フィナーレにこれまでの出演者が勢揃いしました。

 そして演奏するのは「TAKiOのソーラン節」。TAKiO BANDの音源に合わせて日本中の子供たちが保育園や小学校でソーランを踊りました。現在のよさこい・ソーランの源流のひとつです。

 イントロの尺八の聞き慣れたフレーズが聞こえたとたんに、胸が熱くなります。

 多喜雄さん「ドッコイショ、ドッコイッショ!」

 観客「ドッコイショ、ドッコイショ!」

 多喜雄さん「ソーランソーラン!」

 観客「ソーランソーラン!」

 会場中が熱いお祭りのパッションで爆発しました。

 ちなみにここでも一噌幸弘さんの能管は炸裂していて、ついついそっちに目がいっちゃいました。

参考動画:XAC881 TAKiOのソーラン節  伊藤多喜雄 (1988)140731 HD 

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和楽器バンドやももいろクローバーZ

 パイオニアたちの切り開いた邦楽世界は新たな展開も見られます。

 詩吟出身の女性ボーカルや和楽器の師範たちで編成されたロックバンド「和楽器バンド」や、夏のコンサートで大人数の和楽器編成を起用して和のサウンドを構築した「もいろクローバーZ」などが人気を博しているのは、若い世代にも邦楽が受け入れられていることの現れではないでしょうか。 

参考動画:和楽器バンド / 「起死回生」Kishikaisei MUSIC VIDEO

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参考動画:特報「ももクロ夏のバカ騒ぎ2014 日産スタジアム大会~桃神祭~」LIVE Blu-ray&DVD

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長文失礼いたしました!

 

 

 

 

草加和太鼓祭りを経て子供たちは「練習したい欲」が芽生えたか

イベント 芸能 草加 音楽・芸術

 9月4日(日)、草加市中央公民館ホールで12時から16時半ごろまで草加和太鼓祭り」が開催され、僕も草加太鼓クラブの一員として出演しました。

 すばらしいイベントでした。ぜひ毎年開催して欲しいです。あまり宣伝していなかったと思ったのに満員になっていました。来年も開催するなら、中央公民館では狭いでしょうね。

 出演は草加市内の市民団体9組と特別ゲストでした。

プログラム

草加太鼓クラブ草加どどん鼓連盟所属)

こうま座・草加民族文化の会草加どどん鼓連盟所属・合同チーム)

青柳太鼓愛好会

にっさと太鼓草加どどん鼓連盟所属)

小山太鼓保存会草加どどん鼓連盟所属)

草加保育魂

~和太鼓体験コーナー~

八幡太鼓草加どどん鼓連盟所属)

北谷太鼓草加どどん鼓連盟所属)

松並太鼓

秩父屋台囃子保存会(特別ゲスト)

  12時ちょうどに市長がステージに登場して開会の挨拶をしました。

 トップで出演する草加太鼓クラブはステージ脇で待機しながら、その挨拶を聴いていました。市長は、人類が太古から太鼓を叩いていたことや太鼓の連打は心臓の鼓動と呼応するというようなことをお話していました。

 でも、そんなお話は太鼓クラブの子供たちの耳には入っていません。僕達はこれから創設以来初めて大きな舞台で太鼓を演奏するのです。

 市長が退場し、照明が落とされ、草加太鼓クラブがステージに向かいました。長丁場のイベントのスタートなので、どうせ客席はガラガラだろうと高をくくっていたのですが、意外にもお客さんはいっぱいでした。

「ぶち合わせ太鼓」「夏祭り」「豊年太鼓」の3曲を披露しました。

 自分たちの実力から見てベストの演奏ができました。「どうだ!これが草加太鼓クラブだ!」と胸を張れると思いました。ほかの団体からもお褒めの言葉をいただけました。

 着替えをしていたので「こうま座・草加民族文化の会」は見逃しましたが、小さなお子さんが元気いっぱいに太鼓を叩くチームです。 

青柳太鼓愛好会」は初めて拝見しましたが、ものすごく小さい子も70代のおばあさんもいるチームでした。曲のレパートリーが広くて、担ぎ桶胴太鼓もやっていました。

にっさと太鼓」は女性だけの団体です。軽快になにげなく高度な技術を披露していてさすがです。

小山太鼓保存会」は、鬼のお面をかぶった3人が暴れまくって会場を沸かす「鬼太鼓」がすごいです。エンターテインメントです。「小山ばやし」は体の動きや手の振りも重要な要素になっているし、見せることを重視する姿勢は学びたいと思いました。

草加保育魂」は立ち見が出るほどの盛況でした。なぜならばメンバーは保育園の男性保育士たちだからです。保育園の子どもたちの「○○先生ー!」という歓声がすごかったです。

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 ↑ 三宅太鼓を演奏する草加保育魂

  保育魂は20分間の持ち時間を「三宅太鼓」1曲でやり通しました。4基の太鼓(うち1基は二尺の巨大太鼓)を横置きにして、腰を落として横からぶっ叩く、足腰に負担のかかる独特の三宅のスタイルで、力強く叩き続けました。すごい迫力でした。かなり鍛えてきたことでしょう。

 いちばん大音量を響かせていた人は、意外と腕の力が抜けているように感じたので、あの手首の返しを真似したいと思いました。右手の撥を完全に後ろに回してからひねるんです。バッティングよりもピッチングに近いかもしれません。左手はバッティングですが。

 ↓ 草加保育魂の演奏の様子

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八幡太鼓」は子供も大人もバランスよく含まれる団体です。「秩父屋台囃子」を壮大な構成で披露してくれました。

北谷太鼓」も子供と大人が混じって「秩父屋台囃子」をやりました。子供も上手なのが強みですね。

 草加太鼓クラブも「秩父」はレパートリーにあるんですが、ゲストの「秩父屋台囃子保存会」があとに控えているので、ここで演奏する勇気はもてませんでしたよ。

松並太鼓」は櫓(やぐら)太鼓と斜め台太鼓のかけあい、コール・アンド・レスポンスが印象的でした。斜め台は多くの団体が使用していました。盆太鼓(盆踊りの太鼓)をルーツとする団体なのでしょう。

 松並太鼓のひとりの女の子が、みごとな盆太鼓スタイルを見せてくれました。太鼓に対して完全に横向きのスタンスで足を大きく開き、腕を大きく振ります。特に左手の振りがあざやかでした。

 彼女の美しいフォームが理想像として目に焼き付けられるせいで、ほかの子供たちのそこに至らない動きにも視覚的な補正がかかり、全体のイメージが引き上げられる効果があったかもしれません。

 ダンス教室の発表会でも、先生が同じステージの端っこで踊ると、ああ、本当はこういう踊りをしたいわけね、とちょっと下手な生徒のダンスの潜在的な美点が引き出されるようなことがありますよね。

 さて、特別ゲストの「秩父屋台囃子保存会」はすごすぎて、申し訳ないけど市民団体の演奏が吹き飛びました。

 大太鼓1基と締太鼓3台と笛、鉦(かね)という構成でした。大太鼓を複数並べてアンサンブルを生み出す「鼓童」のようなスタイルは舞台用であって、秩父夜祭で実際に屋台の中で演奏される楽器構成は大太鼓1基が基本なんですね。そして楽曲構成なんて関係ないんです。打ち手が交代しながら延々と演奏が続くだけなんですから。

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 ↑ 秩父屋台囃子保存会

 屋台囃子の大太鼓は寝かせて置かれ、打ち手は太鼓の打面に正対するように座って叩きます(保存会の方は「はたく」と言います)。大きな音を出そうと撥のスイング距離を長く取るためには、上体を後方にのけぞらせて腕を後方に振り上げる必要が生じます。腹筋運動しっぱなしです。

 保存会の屋台囃子は、もはやうまいとか下手とかの次元を超えていました。力を抜くほうがかえって大きい音が出るとか生ぬるいことを言っていられません。とにかく全力。もちろん撥のスイングの高度な技術などとっくにマスターした上で、さらに力まかせです。だから激しい。爆音の連続でした。

 大太鼓の撥の振りかぶりは頭の後方に及びます。締め太鼓の打ち手ががすぐそばにすわっているのですが、絶対に当たりません。撥の軌道が一直線で決してぶれることがないからです。

 12月の秩父夜祭ちちぶよまつり)では朝8時からなんと夜明けまで演奏が続くそうです。「相当体力がいりますよね」と保存会のリーダーが言っていました。「相当」なんてそんなレベルではありません。もはやアスリートですよ。

 締め太鼓の「玉入れ」と呼ばれる間奏では超高速連打が繰り広げられるのですが(ベルのジリリリリリリリリという音の律動に近い)、「子供の頃からやっていなければなかなかできるようにはなりません」とのことです。

 屋台囃子は伝統とトレーニングシステムと発表の場が備わる秩父という土地だからこそ、こんなに先鋭化して発展したのでしょう。

 イメージが残っているうちに早く練習したいです。子供たちにも練習したい欲が芽生えたでしょうか。

 ↓ 秩父屋台囃子保存会の公演の様子

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