2007年ごろから数年間、僕はネットラジオにはまっていた。これはインターネットで音声を配信する番組だ。当時アマチュアの番組が林立していた。
iTunesのPodcastで受信することができて、僕はiPodに同期しては毎日聴いていた。走りながら（主に夜）。
ネットラジオ番組の代表は「BS@もてもてラジ袋」。ふざけた名前だ。2002年、ワールドカップ日本韓国大会が開催された年に始まった。
このもてもてラジ袋を中心に「関西ラジオ商店街ラジエイド」という組織があって、５番組ぐらいが所属していた。ネットラジオは関西で盛んだった。
もてもてラジ袋は週に１回「ぶたお」という人物を中心に２人から３，４人でだらだらと１、２時間語り合う番組。内容は本のこと、映画、アニメ・漫画・ゲーム、2chやネットの話題などサブカルを中心に幅広い。この番組で出会った本やアニメはたくさんある。新宿ロフトプラスワンでのトークイベントに行ってご本人の顔を見た。声と「ぶたお」という名前から受ける印象とは全然違ったシャープな風貌だった。
「関西ラジオ商店街ラジエイド」の番組はだいたい聴いていた。その中に「月刊シンソニードラジオ」というのがあって、センスがよくて好きだった。
メールも送った。
検索したら月刊シンソニードラジオが１本ニコニコ動画にアップされていた。
冒頭で「じつに」さんからのメールが紹介されているが、じつにとは僕のペンネームだ。
アマチュアのネットラジオはプロのPodcastに取って代わられた。
TBSラジオが番組をPodcastで配信し始めたのはいつからだろうか。「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」は映画や音楽を知識と熱意を総動員して語る凄さが圧倒的だった。ももいろクローバーＺを知るきっかけもこれだった。「荒川強啓のデイ・キャッチ」での宮台真司の毒舌、「安住紳一郎の日曜天国」の静かな狂おしさなどと出会って、TBSラジオすごい！ いやラジオすごい！と認識を新たにし、聞くものが溜まっていき、アマチュアのネットラジオが後回しになっていった。TBSラジオに追い出されるように、ネットラジオは退場していったように思える。
そのTBSラジオは2016年にPodcastの配信を終了した。以後はTBSラジオは２つのインターネットでラジオが聞けるサービスにコンテンツを預けた。TBSラジオの独自サービス「ラジオクラウド」と「radiko(ラジコ)」だ。
だがもてもてラジ袋は生き残っている。Podcastは相変わらずのペースで更新されているし、Youtubeチャンネルできていた。プロじゃないから逆に止める理由もないのだろう。
