草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

獨協大学の授業に潜入(!?)

12月3日(水)、獨協大学の授業への潜入しました。この機会は、11月23日に草加駅東口カーソンプラザで開催された「パリポリンピック?世界選手権大会~草加大判手焼せんべいコンテスト~」に出場した獨協大学の学生さん(女子)に話しかけたことから生まれました。

※ブログ「草加小話」記事参照:「パリポリンピック?世界選手権大会~草加大判手焼せんべいコンテスト~。来年は出てみたい!でも次回は4年後!?」

その学生さんに『草生人』をお渡ししたところ、彼女は獨協大学教授、岡村圭子先生のローカルメディア論を受講しているということがわかったのです。
草加のローカルメディアの1つである『草生人』の記者としては以前から岡村先生の存在は気になっていて、ネットの動画で岡村先生の講演を見て楽しみながら勉強させていただいていました。
学生さんは「岡村先生の授業に、ぜひこんど足をお運びください!」とメッセージをくれました。
「こんどっていつだよお!」というセリフが昔のウッチャンナンチャンのコントにありましたが、僕はそのチャンスを逃さず、さっそく翌週、足を運んでしまいました。
もちろん、事前に先生の承諾をもらってくださいましたけどね。

○まず出席を取る
授業は出席を取るところから始まりました。そのやりとりからリラックスした親密さが伝わってきました。
たとえば、ある男子学生の名前を呼んだあと、「○○さんには特等席があるでしょ」と、笑いながら前のほうの席に移動させたのです。どうやら居眠りの前科があったようです。

さて今回の授業は、学生たちに自分たちで作ったローカルメディアを発表させる回でした。事前に課題として2人から4人ぐらいのグループで取り組んでいたのでした。
その中から今回は獨協大学に関連のある作品から順に発表していきました。
作った学生グループが教室の前方で説明するのに合わせて、岡村先生が書画装置で該当ページをスクリーンに映します。

○女子寮入居者向けの雑誌
最初は、獨協大学女子寮入居者向けの雑誌でした。
A5判で8ページ(たぶん)のものでした(以後の雑誌もだいたいこの判型)。
女子寮入居者という、研ぎ澄まされたターゲットの絞り込みがうれしいです。超ローカルなメディアです。最初の記事が、年末年始に実家に帰る人が届け出をするために便利なように、学生課の休日を明記したカレンダーです! 女子寮の住人だからこそ気づく企画ですね。
卒業生へのアンケートページが面白そうだったので、寮生活が活き活きと書かれた記事があったらほかの人も楽しく読めるかもしれないと思いました。

○留学生向け雑誌
次は、獨協大学への海外からの留学生に向けた雑誌でした。
これまたシャープなターゲット設定ではないでしょうか。留学生が多い獨協大学ならではのコンセプトだと思います。
また英語と日本語が併記されており、留学生の日本語の勉強を助けるように気を使っています。
最初が留学生たちへの一問一答ページ。いろいろな顔があって、国際性が伝わります。それぞれの留学生についてもっと詳しく知りたくなりました。
草加のイベントを紹介するページや、日本文化を紹介するページも。
ちなみに日本文化として、アイドルグループももいろクローバーZが取り上げられていました。日本文化の代表としてこのグループを選んだことには、おおいに賛同します!
聞いていた学生から「留学生向けの日本語アドバイスコーナーがあるといいかな」というコメントがあり、唸らされました。
そう! この授業は学生たちが授業に参加する態度がとても真面目なのです。どんどん手が上がりいろいろな意見が飛び交うのが驚きでした。

○六本木紹介雑誌
続いての雑誌は獨協大学生向けの六本木紹介雑誌でした。
なぜ六本木かというと、地下鉄日比谷線に直通で出やすい街だからです。
ところで、六本木というと夜の街ですよね。僕はそう思い込んでいました。この雑誌は、夜はもちろんですが、六本木には昼もあるんだ!というところを強調していました。六本木ヒルズや文化スポットなどです。この雑誌の遊びっぽさとカルチャーっぽさのバランス感覚はなかなかいいのではないでしょうか。
ページごとに整理されていると思いましたが、先生は「コンセプトもっとはっきりと」「情報を絞ること」というアドバイスをしていました。
先生もコメントを加えますが、いいところ、こうすればもっとよくなるところ、とポジティブなコメントに限ります。やさしい先生です。

○アカペラサークル紹介雑誌
「歌が好きな受験生の皆さんへ!!!」と、受験生たちに獨協のアカペラサークルを紹介する雑誌が登場しました。
なんと観音開きという高度なページ構成でした。
最初に開くと見開き2ページで、アカペラとは何か、あなたに向いたパート診断チャート。
観音開きなので、そこからさらに左右にページが開き、4ページ分の見開きが現れます。そこではアカペラのパートが詳しく紹介されます。
理にかなったうまいページ構成だと思います。
聞いていた学生の一人から、「音が聴きたい。Youtubeの紹介をすれば」というアイデアが出ました。
それを受けて発表メンバーは、「スマホからすぐにインターネットにつながられるようにQRコードをつける案はあった」と答えていました。

○一人暮らし女子向け雑誌
続いては獨協大に入りたての一人暮らしの女子向けの雑誌でした。
表紙は淡いパステル調の地に雑誌名がローマ字で書かれているだけで、内容がわかりません。
ページを開くと防犯の情報が満載でした。「あんしんメール」というシステムや近隣の病院、防犯グッズの紹介、女子の一人暮らしであることを悟らせないような工夫など。女性が一人で暮らすことはちょっと覚悟がいることなのかもしれないと再認識しました。だからこそ情報が大事ですよね。
「内容と表紙にギャップがある」という鋭い指摘が上がりました。
すると先生が「ほら反論していいのよ」と発表メンバーに水を向けます。つまりこれでいいのだというメッセージ。表紙と内容のギャップこそおもしろさのポイントかもしれません。

西武線沿線情報誌
時間があったので、獨協大周辺から離れた雑誌の発表が1つ行われました。西武線沿線情報誌、その名は『せいぶん』国分寺編と石神井編の2冊です。
小さな横長の判型で、紐で綴じられています。
表紙はホームに止まる西武線電車のイラスト。のどかなイメージです。2冊ともほとんど同じですが、空の雲や飛ぶ鳥の様子にちょっと違いがあります。また「国分寺」「石神井」という文字もあります。
内容は家賃の相場などの不動産情報や、駅付近のお店の紹介です。部屋を探す人のために役立つ情報が、1つの駅に絞り込んで編集されているわけです。
デザインのすばらしさが特筆すべき水準だと思いました。情報量の極めて少ない表紙から始まり、写真や手書き文字が余白を活かして綺麗に配置されています。絵本のような雰囲気です。
この調子でほかの駅の号も続々と作られたら素敵なことになるかもしれないと思いました。

○最後に講評を求められ
ああ面白かった、とのんびりもしていられません。最後に先生から講評を求められてしまいました。
僕が言ったことは、印刷するとしたらどうするのかな、という心配でした。僕には紙メディアとは印刷物であるという固定観念があるからです。
今回発表された雑誌がほとんど手書きだったので、たとえば大学内や近隣に100部配布するとして、カラーコピーしたらけっこうな値段になりそうです。
初めからパソコンで何かソフトを使ってページデータを作れば、簡易印刷に発注しても、もっと安く高精細な出来で仕上がるんじゃないかなと、僕は考えてしまいます。
もちろんパソコンでは手書きのような自由さは失われますが、費用や作業上の不自由さという制約から出発することも、メディアのあり方だと思うんです。

もっとも今回の授業の趣旨や前提条件はわかっていないし、西武線沿線情報誌『せいぶん』の高い作品性の前では通用しない言い分かもしれません。

それにしても謎のおじさんがいきなり出てきて何かしゃべっている光景って、今思えばすごい違和感でしたよね。みなさん、どうもありがとうございました!

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獨協大学、夕方の学生会館(染谷洋子撮影)