草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

第9回草加ミュージック・フェスティバルの感想

2月9日(日)、草加市文化会館ホールで「第9回草加ミュージック・フェスティバル」が開催されました。

 ◆クリスタルファイブ

14時開場、15時開演ですが、14時からロビーライブが始まりました。

ロビーに入って右側の壁際にドラムやアンプが設置されており、クリスタルファイブ真渕りかさんも歌で参加)が昔懐かしいグループサウンズを披露しました。パンフレットによると「63歳過ぎから始めた人が中心のバンドです」とのこと。

あ、それなら自分も、と心躍った人もいるかもしれません。

 たけちゃん&しょうちゃん

続いて反対側の壁でライブが始まりました。

会場内の2箇所のスタージを交互に使うライブということで、ちらっとフジテレビ系の「FNS歌謡祭」の生放送を連想しました。

それはさておき、たけちゃんとしょうちゃんのデュオです。

タイガース沢田研二ピッグガロなど、懐かしい曲を、アコースティックギターと2人の見事なハモリで聞かせてくれました。

懐かしいとは言うものの、同年輩の僕も知らない曲ばかりでした。知られざる名曲を発掘して、独自にアレンジして聞かせるところがこのグループの真骨頂なのです。

たけちゃん(斉藤猛彦さん=ギター教室の先生)の華麗なフォークギターのピッキングも見どころでした。

 ◆アルコールズ

再び逆サイドに戻って、4人組ロックバンド、アルコールズの演奏です。

ギター2人とドラムをバックに、ボーカリストはベースを弾きながら歌います。

ベースの位置が低すぎなのが独特のスタイルになっています。なにしろ右腕が下に伸びきってるし、若干前かがみになって歌っています。

メッセージはストレート。「ラーメンが好きだ」という曲は「ラーメンが好きだ ラーメンが好きだ 3日連続大丈夫 ラーメンが好きだ」 が歌のすべて。15秒CMぐらいの長さ? メッセージは間違いなく伝わりました。

ボーカリストが「実は両親が見に来ていて恥ずかしい」と語りました。

彼が手を伸ばした先に椅子にすわっているお二人がいて、おじぎして挨拶しました。

ここで両親に感謝する歌を歌うことになっていたけれど、控室で「やっぱやめよう」って言ったらメンバーが「歌え」って言ったとのこと。

歌い出したその歌は極めて素直な親思いの歌で、ちょっとジーンときました。お母さんが目を拭っていました。

このようなストレートな歌ばかりのわりに、ドラムが叩き出すリズムがすごく多彩で、1曲中でパターンがどんどん変化しました。手数も多く、ドライブ感がすごくて、わくわくしました。

 ◆いなせ連

いよいよホールでの開演です。

オープニングアクトいなせ連。去年に引き続いての出演です。

とくに笛のうまさは抜群で、澄み渡った美しい音色が響きました。

鳴り物がさまざまなリズムパターンを繰り出し、女踊り、提灯・団扇踊りなどのいろいろな組み合わせの踊り手たちがノンストップで次々と登場しました。

最後は客席両脇のドアから踊り手たちが走り込む、昨年大成功した演出を再現。会場を十分暖めて、オープニングの勤めをはたしました。

 ◆NOXAH(ノア)

2番手はNOXAH(ノア)

ボーカルのヒロヒデさんとギターのせいずぃーさん、そしてベーシストとドラマーの4人編成。

草加のイベントではもうおなじみのアーティストです。ステージ上のヒロヒデさんの動きに合わせて、用意してきたタオルを振ったり手を振ったりするファンの人たちが大勢いました。根強い人気の高さが伺えます。

シンプルでハッピーな曲が持ち味ですが、メジャーシングル「暴れだす世界」はちょっと違います。8分の6拍子のゆったりとしたリズムに乗せて、どこかMr.Childrenの曲をほうふつとさせるようなシリアスな曲調でした。

 ◆チャランガぽよぽよ

今回いちばんの驚きがチャランガぽよぽよでした。

フルートの坂上領さんを中心に、ヴァイオリン、ピアノ、エレキベース、パーカッション、ボーカルの6人編成です。

「ラテン系脱力バンド」とのことです。チャランガはキューバの音楽だそうです。Eテレで流れる曲のカバーを得意としていると話していました。

ロシアの人形アニメの曲「チェブラーシカの歌」が歌われたあたりからすっかり魅了されてしまいました。会場のみなさんもそうだったと思います。

ボーカルの高瀬"makoring"麻里子さんがチェブラーシカの人形を持って、チェブラーシカになりきった可愛い声で歌うのです。

そしてまたメロディーが哀愁に満ちている。可愛さと哀愁の相乗効果は絶大です。

参考:チャランガぽよぽよ「チェブラーシカのうた」
https://www.youtube.com/watch?v=ghXHc5ba3hE

このボーカリストは多彩なキャラクターを演じわけることのできるすごい技量の持ち主だそうで、CDを聞くと曲ごとに違うボーカリストがいるのかと思ってしまうとか。

朗々と歌い上げながら同時に語るように歌うこともできるシャンソンのような歌い方も。

たとえば谷川俊太郎作品の「かえる」。

子供たちが多く集まるイベントで披露すると、童話のような世界に安心して聞いていた子供たちが、残酷な結末にびっくりするそうです。

参考:編成はちょっとちがいますが、「かえる」の演奏例はこれ
https://www.youtube.com/watch?v=uwlu3hLmyFo

楽器メンバーもみなさん相当な力量をお持ちだろうと伺えます。その力量を惜しげも無く晒したらさぞかしすごいインタープレイが楽しめそうです。

でもこのバンドは「脱力系」。余裕たっぷりに遊んでいます。

そこにラテン特有の哀愁とパッションもいい感じでブレンドされ、じわーっとしみてくるのでした。

 ◆OLFM(オルフム)

休憩で再びロビーライブが始まりました。

獨協大学のアカペラサークル、OLFM(オルフム)の登場です。

ヒューマンビートボックスの2人組から始まりました。すばらしい技量です。

ダブステップ」と呼ばれるダンスミュージックの声による再現が驚きでした。

人間かあるいは獣の唸り声のような奇怪な音がダブステップの特徴ですが、それをさらに人間が模するのはまるで合わせ鏡? 逆輸入? 森進一のモノマネをするコロッケのモノマネを森進一がするような?

そしてメンバーが入れ替わりながら「スタンド・バイ・ミー」や「シング・シング・シング」などを歌い、最後に全員でやスピッツの「チェリー」を楽しく歌ってくれました。

 ◆JAJA

ホールでの第2部はJAJAからスタートしました。

JAJAはソプラノ・サックスを中心にギター、ドラム、ベースの4人組ジャズグループです。

ソプラノサックスの人、右足を前に出して上体を半身に構え、腰を落としたり伸ばしたりのけぞったりと激しい上下運動で、全身で歌いあげるように演奏します。

ワイヤレスマイクが楽器に装着されているので、管楽器奏者もギタリストに負けないほど自由になったんですね。

ギターの16ビートでのカッティングストロークの音が小気味よくて、最高でした。

クライマックスは1分あったのではないかというソプラノサックスの驚愕のロングトーン。その間アルコールズなら「ラーメンが好きだ」を何回歌えたことか。息を補給しながら吹き続ける循環呼吸の使い手なんですね。

 ◆Jimbo'sジャズオーケストラ

Jimbo'sジャズオーケストラが登場しました。18人編成のビッグバンドです。全員スーツに蝶ネクタイ着用です。

平均年齢は高いそうですが、テナーサックスでソロをとっていた2人は25歳だそうです。

また途中でチャランガぽよぽよのパーカッション奏者、塩のやもとひろさんも参加しました。

僕が大好きなウェザーリポートの「バードランド」を演奏してくれてうれしくなりました。

ビッグバンドの気持ちよさは、サックスを中心とした中音が怒涛のような圧力で迫ってくるところだと思いました。

 ◆橘和希

ジャズオーケストラはそのままで、着物姿の橘和希さん登場し、演歌を披露しました。歌謡ショーです。

坂本冬美の「夜桜お七」の熱唱は、ビッグバンドが作る音圧に負けない力強さでした。
そして、曲自体の迫力も再確認しました。

 ◆真渕りか

橘和希さんが退場し、最後に真渕りかさんが登場しました。草加ご当地ソング綾瀬川の恋」などを披露しました。

さきごろアルバムも発売した真渕さんはシンガーソングライターです。

やさしくしないで」という曲はハチロク(8分の6拍子)。「グッバイマイラブ(アンルイス)」や「けんかをやめて河合奈保子)」などのハチロクバラードの名曲を思い出させるリアルなラブソングでした。

 

最後に草加市歌「想い出はいつも」を、出演者や会場のお客さん全員で歌いました。

中村八大作曲の軽妙なジャズの香りが、ジャズオーケストラの演奏によって強く匂い立ちました。

 

以上、草加ミュージックフェスティバルの印象の走り書きでした。