草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

関係性、経験値、期待値、方向性、好感度

関係性

例文1:「AさんとBさんの関係はどうなの?」

例文2:「AさんとBさんの関係性はどうなの?」

例文1は、AさんとBさんの関係は夫婦だ、とか、友人だ、とか、ライバルだ、とか、そういう答えが想定できる。

例文2の「関係性」はどういう意味か。関係の傾向とか度合いとか性質のことらしい。

ならばAさんとBさんが夫婦だとして、その関係性は依存と支配と暴力であり常に緊張感が漂っている上に別の男性の存在も確認できるため早晩この夫婦は破局を迎えるだろう、とかそういう分析を滔々としゃべくったら、もういいです、と質問者が遮るかもしれない。

質問者が「関係性は?」と問うて求めた答えは単に「関係」だったのではないか?

「AさんとBさん? 夫婦だよ」「だと思ったwww」

ほら平和に終わった。

経験値

「この仕事を始めて3年。ずいぶん経験値が上がりました」

これは「ずいぶん経験を積みました」というだけで良かった場面ではないのか。

 経験値は本来はゲーム用語だ。この人が上げた経験値はどれほどの数値なのだろうか。

でも経験値という言葉を使うと、人生というゲームでポイントが加算されレベルアップするイメージが浮かんでくる。どんな苦労も報われるはず、というポジティブな思想かもしれない。ゲームオーバーしてもまた始められるし。

期待値

「さあ、次の試合でのA選手の活躍、期待値が高まりますね」ってうっかり言ってしまう例。

期待値は数学の用語。確率を考慮した平均値。平均だからあまり高くない。

「期待値」が高まってもあまり大きい数値にならないので、実はあまり期待していないという意味になる。絶妙な言い回しだ。

方向性

バンドが解散する理由はたいてい「方向性」の違いだ。やりたい音楽のジャンルが違ってきたのかもしれない。「方向性」はほとんど「音楽性」と同じ意味だ。

AさんとBさん夫婦の「関係性」に亀裂が生じたのは、「方向性」の違いも関係あるのかもしれない。つまり「音楽性」の違い。離婚発表の記者会見で「原因は音楽性の違いです」と言ってくれるだろう。音楽は大事だしそういうものかもしれない。

好感度

「よし、前髪完璧! これで高感度アップだね! どう?」

好感度とは好感を持たれている度合いを市場調査した数値。

一般市民の行動をその都度市場調査することはないが、SNSの生活への浸透によって擬似的な市場調査が個人の意識に働きかけ、好感度メーターの数値の上下動が見えてしまうのだ。

もちろん他人には見えない。

「好感度アップだね!」

「……」

f:id:jitsuni:20210207221433j:plain