草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

越谷アリタキ植物園は有瀧先生の学問的な専門性と土地所有者という境遇が活かされた幸運な遺産

越谷市久伊豆神社の長い参道の脇に木がたくさん茂っている。そこは越谷アリタキ植物園という施設だった。入場料大人100円、子供30円。

受け付けの男性から「初めてですか?」と聞かれ、そうですと答えたら、植物園の概要を説明してくれた。

アリタキ」は、「有瀧」。この土地のもともとの所有者の名前なのだった。まず明治時代に、有瀧平太郎氏が広大な私有地に築山や池を設け、植物を植えた庭園を造営した。

1927年、平太郎の子息で植物学者である有瀧龍雄氏が、庭園を拡張して「アリタキアーボレータム」と名づけ、国内外から樹木を収集し学術的にも重要な施設として一般に公開した。人工の森という点では明治神宮の森とも共通する。有瀧龍雄氏はすぐ近くの越ヶ谷高等学校の教師もしていた。

2001年に有瀧龍雄氏が97歳で逝去し、植物園は越谷市に譲り渡された。その後整備されて2010年、越谷アリタキ植物園として開園された。

有瀧先生は、学問的な専門性と広大な土地の所有者という恵まれた境遇を活かしきって、最高の文化的遺産を残したのだった。

www.city.koshigaya.saitama.jp

 

越谷市のホームページによると、面積は約9000平方メートルで、約320種、約1000本の樹木が植えられているという。希少なメタセコイアや、越谷市の天然記念物に指定されたラクウショウ、巨大になるセコイアメスギなど見どころがたっぷり。

僕のような植物に疎い者にもただ単に散歩の場所として最高だ。係員の方は、季節ごとにまったく違う景色になるので、ぜひ何度も来てください、と言っていた。

※本来は案内のボランティアがいるのだが、今は感染防止のため中止している。

また市内のおすすめの場所として、能楽堂と隣接している「花田苑」という施設も教えてくださった。こんど行ってみよう。

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園内に作られた小径。柵の柱にミカンが載っていた。

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園の奥に建物があり、子供達が作った展示物がたくさんあった。アブラゼミの抜け殻のコレクションもあった。

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越谷アリタキ植物園の沿革。

 

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米原産のラクウショウ。越谷市指定の天然記念物。

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セコイアメスギ。世界で最も高くなる木。

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ソファのように横たわる枯れ木。