草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

第2回草加和太鼓祭り。この祭りを核として草加の太鼓は進化していく。

9月3日(日)、草加市中央公民館ホールで開催された、第2回草加和太鼓祭りに参加しました。

市民団体11組と、特別ゲストの秩父屋台囃子保存会が出演しました。

以下出演順に感想を書いていきます。

1. 草加太鼓クラブ(草加どどん鼓連盟所属)

僕が所属する草加太鼓クラブは、去年同様、今年もトップの出演でした。28人の参加で、出演団体中最多でした。いつの間にか増えたんですね……。

草加太鼓クラブの演目》

1. 輝け囃子(作 荒馬座)

草加太鼓クラブでは「輝き太鼓」と呼んでいて、叩き方にもちょっと違いがあります。
3歳から小学生までのメンバー20人近くが、太鼓から太鼓へと回りながら元気に演奏しました。

2. 夏祭り(作 北原永)

明快なメロディ(?)の名曲! 後半に上打ちと下打ちで違うフレーズを重ねるところが見せ場です。

3. 豊年太鼓(石川県七尾地方)

伝承曲ですが、独自に構成を変えています。大人メンバーを中心に、力強さをアピールします。 

 夏祭りも豊年太鼓も、クライマックスで太鼓を巡って演奏者が回転しながら入れ替わる演出が入ります。回転が好きなのかもしれません。

2. 子馬座・草加民族文化の会(草加どどん鼓連盟所属)

子馬座と草加民族文化の会の合同演奏でした。

すいません、自分の演奏が終わって控室に入ってしまったため、演奏を観ることができませんでした。

子供たちの演奏を中心に大人がサポートする形だったようです。

3. ひびき

今年初参加の団体です。メンバーは12人の女性でした。65歳以上で85歳の方もいると自己紹介していました。

大太鼓10台と締め太鼓2台を横一列に並べて叩く曲もありました。

次に登場する青柳太鼓愛好会のハッピを着た方がリードしていました。

小さい子供でも、おばあちゃんでも演奏できるのが太鼓の特徴。そして草加和太鼓祭りの良さですね。

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4. 青柳太鼓愛好会

子供6人と大人5人。とても小さい子もいました。

太鼓の周りを回る演出が楽しかったです。

担ぎ桶胴太鼓を使う曲もありました。

担ぎ桶胴太鼓は紐で肩から下げて動きながら叩ける太鼓です。これがあるといろいろに使えて楽しいだろうなと思いました。

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5. 北谷太鼓(草加どどん鼓連盟所属)

16人出ていたでしょうか。秩父屋台囃子を大人と子供でパワフルに演奏します。

秩父屋台囃子を主要レパートリーにしている北谷太鼓と八幡太鼓は、この日の特別ゲスト、秩父屋台囃子保存会の演奏からさぞかし大きなショックを受けたことでしょう。そして練習に励むことでしょう。

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6. 小山太鼓保存会(草加どどん鼓連盟所属)

鬼のお面をかぶった3人の達者な舞と演奏は相変わらず魅せてくれます。「小山ばやし」もそうですが、ステージ映えするオリジナル曲を持っているのは強いですね。

草加太鼓クラブもオリジナル曲を作りたいです。

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7. 和太鼓 凛(りん)

今回のいちばんの驚きはこの団体の登場でした。

女性の師匠のもとに女性保育士たちが集って太鼓の技術を磨いてきた団体。結成してまだ1年ちょっとだそうですが、すでに高い完成度です。

1曲演奏したあと、師匠以外のメンバーは総入れ替えして2曲目を演奏しました。

太鼓が新しかった。また太鼓の台それぞれに撥入れがついていて、予備の撥が納められていました。

演奏中に撥を落としたメンバーがすみやかに予備の撥を取り出していて、なるほどこう使うのかと納得しました。

僕はつい最近撥をステージから落として、拾いに行ったものです。

太鼓集団「鼓童」の名曲「」を見事に演奏しました。

この曲では、中央で師匠が華麗な技を見せつけて、周囲の生徒たちは一糸乱れぬ打ち込みで師匠をサポートしました。

写真を見てもわかりますが、演者たちの腕の振りの高さもタイミングも見事に揃っていました。背格好も似通っているため、よりシンクロが強く感じられました。

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Youtubeに動画がアップされていました。

www.youtube.com

8. 八幡太鼓(草加どどん鼓連盟所属)

八幡太鼓も北谷太鼓と同じく秩父屋台囃子に長年取り組んでいます。子供も大人に混じって力強く打ち込んでいました。

草加太鼓クラブも、いちおう屋台囃子をレパートリーにしているのですが、まだまだ練習不足で人前で演奏することを避けているのが実情です。

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9. にっさと太鼓(草加どどん鼓連盟所属)

女性5人のグループです。

息が合っている! 5人とも個性的! 力が抜けていて軽快! 見ていて楽しい! これがつまり、うまいということでしょうか。

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10. 松並太鼓

小中学生だけで演奏していたようですが、音がしっかりそろっていて驚きですよ。しかも音量のダイナミクスもあって盛り上がりしました。

松並太鼓は盆太鼓が基本スタイル。つまり太鼓を斜めに置いて体を半身(はんみ)で構えて打ちます。手の振りが曲線的。粋で華麗になります。

大太鼓を平らに置いて真上から直線的に打つスタイルは空手、盆太鼓は合気道に通じる、とふと思いました。

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11. 草加保育魂

草加の男性保育士たちのグループです。力強い本場仕込みの「三宅太鼓」が十八番です。

さらに今年はもう1曲、「ぶち合わせ太鼓」も披露してくれました。

これまたパワフルで荒々しい、本来の漁師の太鼓の精神を現していました。

最後の、1台の太鼓を3人で高速回転しながら打つ場面では、後方に回ったときも跳ね続けていました。その跳ねる勢いのまま太鼓に挑んでいくのです。

研究したくなりました。

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12. 秩父屋囃子保存会(特別ゲスト)

昨年に続いて今年も出演してくれたのが、秩父屋台囃子保存会

北谷太鼓や八幡太鼓が披露した屋台囃子は、複数の太鼓でアンサンブルを構成するものでしたが、保存会の屋台囃子は完全な個人技。

1台の大太鼓に1人の打ち手が相対します。そして、即興で叩く(保存会の方は「はたく」と発音していました)のだそうです。

思う存分叩いたら、隣で座っている人に目で合図して、立ち上がる。次の人は、音を途切れさせないように片手で太鼓を叩きながら、太鼓の前に座って両手で叩き始めます。

伴奏の締太鼓の音は、まるで工場の機械が奏でる律動のようでした。

大太鼓は、みな1台の太鼓を同じように全力で叩いているのですが、音色が違うような気がしましたがどうなんでしょう。

撥のスピードの違いとか、力の違いとか、太鼓の革の撥を当てる場所の違いとかが関係あるのでしょうか。

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大成功だった 

草加和太鼓祭りは大成功だったと思います。客席は満員だし、出演者も多彩で楽しかった。

出演団体は、他団体の演奏からいいところを学んだり、あそこがあっちに行くならうちはこっちに行こう、などと独自性を追求したりしながら、技を磨いていくことでしょう。

そしてこの年1回の草加和太鼓祭りを核として、草加の太鼓は進化していくのです。  

草加太鼓クラブは、トップの出演だったこともあり、みんな心臓ばくばくの緊張で臨みました。そしてみんな演奏しながら、「これ、最高の出来なんじゃないか?」という高揚感を味わったのでははないでしょうか。終わったときの爽快感は最高でした。

また来年もやりたい! またトップがいいかな。