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草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

草加宿神明庵に毒蝮三太夫が来た!

草加 メディア

6月6日(金)の朝、草加宿神明庵に毒蝮三太夫さんが来た。TBSラジオ毒蝮三太夫のミュージックプレゼント』(「大沢悠里のゆうゆうワイド」内のコーナー)の生放送である。

放送開始30分前の10時ごろはまだ10数人の見物客で物足りなかったが、どんどん増えてきた。今回は神明庵のスタッフが主役とのことで、6,7人の男女ボランティアスタッフがいただろうか。

開始5分ほど前に、TBSラジオのディレクターが「下駄の音が聞こえたら、マムシさんが来たことがわかります。拍手と歓声で迎えてください」と言った。

「練習してみましょう。はい!」で、みんな拍手と歓声。「マムちゃーん!」という声に混じって「キムタクー!」も聞こえてきた。

すぐに下駄の音が響き始めた。毒蝮三太夫さんの登場である。

「マムちゃーん!」「マムシさーん!」と一斉に声が上がる。

 ※以下の会話はあいまいな記憶をもとに再現したものです。ご了承ください。

箱根駅伝に出場していたボランティアスタッフ

マムシさんが「草加、いいところだねえ! でも越谷に行ったら、越谷が一番だ、草加なんか目じゃないよ、って言うんだけどね」といきなりあけすけのギャグ。

草加は宿場町だったんだろ。草加の語源、知ってるか? 沼地だったところをしっかりした土地にするために、草を加えたんだってよ」

予習はばっちりのようである。

松尾芭蕉草加に泊まったんだろう。じゃあ芭蕉の句、何かひとつ言ってみてよ」とボランティアスタッフの一人、高齢のおじさんにマイクを向ける。

「いろいろ知ってたんだけど、忘れた」ととぼけるおじさん。

その彼に対し「お地蔵さんみたいな顔してるけど、以前は何やってたの?」と尋ねると、「陸上」という返事。大学で陸上競技をやってて、なんと箱根駅伝にも出たというのである!

ほおー!と声が上がった。よく見かけるボランティアのおじさんだけど、これからは見る目が変わる。そんなエピソードをいきなり引き出すマムシさんはすごい。

 ◆アカデミックな芭蕉論議に

マムシさんはこんどは女性ボランティアスタッフに、「ほら、芭蕉の句、何か言ってみてよ」とマイクを向ける。

すると彼女は「行く春や鳥啼き魚の目は泪」とすらすらっとそらんじる。

「おお、いいね。でもこれどういう意味だろうね」

マムシさんによればこの句は謎の句だ。「魚の目は初めから水の中で濡れているのに、どうして涙なんだ」と。

「魚ってのは見送りに来た弟子たちのことを指していたんだってな。今生の別れの覚悟で奥の細道の旅に出発する師匠を見送る気持ちを表したわけだ。どうだい芭蕉博士」

芭蕉博士と呼ばれたのは、神明庵の運営協議会会長の青柳さんだった。

「いえいえ、全然博士ではないですよ」と謙遜しながらも、「見送られた千住の川は芭蕉にとっては三途の川だったという説もある」と薀蓄を傾ける青柳さん。

「なるほど、隅田川の深川側が此岸(この世)で千住側が彼岸(あの世)だったわけか」と感心する毒蝮さん。

いつもの毒舌とは打って変わって、アカデミックな討論になってきた。

「昨日芭蕉の本読んできたんだけどよ」と言っている毒蝮さんだが、もともと高い教養があるんだろうなと感心した。

「『足元を見る』って語源は何だと思う?」というテーマも面白かった。

芭蕉みたいな旅人は、背負っている荷物に旅費を潜ませている。札じゃなくて路銀つまり硬貨だった。相当重い。草鞋(わらじ)が傷む。

足元の草鞋が傷んでいる旅人は金を持っているかもしれないというわけだ。

いつの間にか神明庵の中も外もびっしり見物客が集まっていた。

そしてラジオの生放送が終わっても、毒蝮さんのトークショーは続いていた。

「さあここからが本番だよ!」

次から次へと客たちに話を振っては、話題を引き出す。

 草加宿の(?)小話を伝授

「これから小話を教えるよ。草加宿で昔から言い伝えられている話だってことにしていいよ」という前置きからマムシさんが教えてくれたのはこんな小話である。

昔々、雷様とお月様とお日様が3人で旅をしていて、草加の宿に泊まった。

じつは3人ってのがなかなか難しい組み合わせで、どうしても1人がのけものにされがちだ。

この3人にも問題が起こったんだ。

いざ寝ようってとき、雷様のいびきがすごくて、まさに雷のような轟音だ。

お月様とお日様は眠れやしない。とうとう怒って、朝が来る前に2人で宿を出発してしまった。

さて、目が覚めた雷様、2人が出発してしまったことに気づいた。

「おやおや、もう出て行ったのかい。月日が発つのは早いものだ」

 おあとがよろしいようで。

最後は記念撮影。見物客たちが順番にマムシさんの隣に座っては写真を撮ってもらっていた。

毒蝮三太夫さんのキャラクター、話芸、そして知性にも圧倒された体験であった。

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