草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

ビッグサイトで鈴仙さんに会った

2014年1月22日から3日間、 東京都江東区有明東京ビッグサイト、国際展示場で「JFW-IFF」(JFW-INTERNATIONAL FASHION FAIR)が開催されました。

知人から招待券を頂き、草加で有名な爬虫類皮革専門のハンドバック製造メーカー「鈴仙」さんに会いに行くといいよ勧められたので、1月23日に行って来ました。
出展は「レザータウン草加プロジェクト」という団体としてのものでした。鈴仙代表取締役鈴木功さんにお会いすることができ、その場でお話を聴くことができました。


Q レザータウン草加プロジェクトとは?

鈴木 原皮から製品まで一貫して作れる業者の集まりです。(パンフレットを見ながら)世界初の牛革製カヌー作りから始まりした。

Q カヌーって古代には革で作られていたんですか?

鈴木 古代は生革という油がついたまんまの革を使ってたんですが、今の革、なめし革はすごく水を吸うんです。だから舟には本来難しい。それを防水処理をしたりして作らなければならない。それをみんなでやりながら、まとまっていきました。

Q 大田区の町工場がまとまって作った「下町ボブスレー」をちょっと連想しますね。

鈴木 そういう部分で始まって、今は草加の産地としてどうしていったらいいのか考えています。みんなが関わってやれることが大事。
草加の皮産業は、原皮の調達から始まって最終製品までが一貫とした流れでできます

Q 一貫した流れができるところは珍しい?

鈴木 産業別にはもっと大きいところがいっぱいある。でも皮なめしだけとか、特定の業種別の地域だったりする。製品まで一貫して作る産地は少ないです。また草加で特徴的なのは、いろんな素材がそろっていること。

Q 鈴仙さんはワニ皮を扱う高度な技術がありますね。

鈴木 うちは40年やってます。草加はワニや爬虫類もあり、牛革もあり、羊もヤギも、豚革も産地内で作られている。それも特徴ですね。

Q 草加の産業自体何でもそろっていると聞いています。

鈴木 そうですね。
1企業としては、都心に近いこともあってそれほど大きくないんですよ。でも今残っているなめし工場とかは日本でも一流の工場です。技術的にも非常に高い。
革から調達が始まる。よその産地の革を入れるよりは、ちゃんとした、埼玉県で取れる革にします。
本庄児玉地域には武州和牛の産地があります。ステーキ肉が有名で組合もある。じゃあそこの革を調達しようと。まず県の革を使うわけです。
今、国にはエコレザーという基準がある。今までの革は、なめしをしていく段階で、染料や薬品にちょっと公害的な問題や人体に負荷をかける薬品だとかが一部使われていた。それで被害が出たとかはないですが、数値的には問題があった。クロームは革を廃棄して燃やすと有害な六価クロムになるとか、そういうものはこれからは排除しようという動きがあります。

Q 製品の基準?

鈴木 材料の基準です。材料としてエコレザーという革を作りました。そこから製品を作ります。認定を受ければこれはエコレザーを使った製品ですよ、ということがカードで証明されます。固有の番号が書いてあって、ホームページから検索すると商品がわかる。そこまで私達はやっていこうと。

Q 工場の基準もある?

鈴木 なめし工場の排水などに基準がありまして、草加なら草加の基準にのっとらないと工場が成り立たない。けっこうたいへんなんですけどね。
昔は売上が高く利益も相当出ましたが、今は基準をクリアするために設備投資もしなくちゃいけないから、なかなか利益が出しにくい。

Q カヌーから始まった活動の目標は?

鈴木 世界的には有名な革の産地といえばイタリアのフィレンツェですが、そこは自家製造、自家販売です。日本のものづくりはなかなか自家製造、自家販売ができない。おせんべい屋さんは自分で作って自分で売れるけど、皮革製品はなかなかそういう状況にならない。
今は大量生産は中国にみんな流れちゃうわけですよ。
その問題をどうやってクリアしていくか。
今まではメーカーといえど、下請けなんですね。どこかの問屋さんやどこかのお店とかの仕事を請け負ってやる。

そうではなく自分たちでダイレクトに売っていくこと。ブランドとして成り立つような方向に持っていくということが、産地として大事なんだろうな。
それは1社で切り替えようっていうのはなかなか大変なことなんです。だから組合で提案しながらやっていきます。
実際4000本も売れているグッズもあるんですよ。
組合が窓口になってメーカーに発注をして、いずれはメーカーが自分のブランドで売れるようなスタイルにしていけば、産地として自立できる。
草加に行けば革製品がなんでもできる、そういうイメージをもっともっと出して行けばいいかなと思います。

 

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↑ 展示されていた「マルチ・レザー・プレート」という商品は、中に銅板が入っている長方形と正方形のプレート。自由に曲げられるため、使い勝手を自分で決めることができる。中の銅板を提供したのは草加市内にある銅と鉄の手作り工房、イヌイフュージョンだという。

 

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↑ 革の階段。木製の階段の表面に革が張られたもの。暖かみのある手触り。