草加小話

埼玉県草加市での暮らしで拾ったエピソードとそうでないエピソードを綴ります。

僕はまだフラワーカンパニーズについては「深夜高速」しか知らない

PIA MUSIC COMPLEX 2019という夏フェス(というか晩夏フェス)が9月末に開催されまして、それをテレビ(CS)で放送したんですが、それが7時間もの超長尺で、それでも録画したのは、BiSHが出るからでした。ハードディスクの容量を圧迫するのでBiSHだけ観て早く削除しようと思っていました。

頭から観ていって、割と早めにBiSHが出てしまって、フェスだからBiSH目当てではない観客もいたでしょうが、そういう人にどう響いたかな、初めて観て聴いたBiSHが気になってしまったかな、ファンになってしまったかもしれないな、などと想像して、ほかのバンドは適当に飛ばして、BiSHのアイナ・ジ・エンドがHINA-MATSURI BAND PMC 2019 SPECIALというスペシャルユニットで椎名林檎の「罪と罰」を絶唱して客を圧倒したのを確認して、またどんどんいろんなバンドをスキップして行ったところで、ぶつかったのがフラワーカンパニーズでした。

結成から30年というベテランバンド、30年間メンバーチェンジなし、活動休止なし、ヒット曲なしという奇跡のバンドを、僕は知らなかった。

リードボーカルの小柄な男、50歳のおじさん。「深夜高速」という曲を歌うとき、左足をモニタースピーカーに乗せ、左手でマイクを持ち、やや前傾になり、「生きていてよかった!」と熱唱しながら、右手を大きく羽ばたかせる。小柄なおじさんは天使に見えた。そして僕は虜になった。

とにかく「深夜高速」を聴き直さなければならない。僕はネットで1曲ダウンロードした。

それから「深夜高速」をいろんなアーティストが歌うフラワーカンパニーズデビュー20周年を記念CD「深夜高速-生きててよかったの集い-」(2009年)の存在に気がついて、購入した。

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同じタイトルが並ぶ奇妙な曲目一覧。

楽曲がシンプルで揺るぎないし、歌詞のメッセージが強いから、ミュージシャンの実力相応にミュージシャンが輝く。そして「生きていてよかった」で感情が爆発する。

後藤まりこのいかれたキャラクターは知っていたけれど、ミドリというバンドの素晴らしさは知らなかった。フリージャズバンドをバックに歌う後藤まりこのフリーさは、ブリジット・フォンテーヌがアート・アンサンブル・オブ・シカゴとやったレコードを連想した。

湯川潮音が「生きていてよかった」と語る危うさは、「たとえば僕が死んだらそっと忘れてほしい」と歌った森田童子を思い出させた。

「深夜高速」を聴きまくっている僕はまだフラワーカンパニーズについては「深夜高速」しか知らない。


フラワーカンパニーズ 『深夜高速 [LIVE at 東京日比谷野外大音楽堂(2013.4.21)]』

www.youtube.com

※world's end girlfriend - 深夜高速 feat.湯川潮音

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