7月23日(土)と24日(日)は、草加駅西口で草加よさこいサンバフェスティバル2016が開催されました。
今年も平塚から来た女性だけのヨサコイチーム「疾風乱舞」に注目しました。
結成11年、コンテスト優勝しまくりの名門チームです。そんなチームが、はるばる草加のイベントに2013年から4年連続で出演してくれています。
毎年新しい楽曲、新しい衣装、新しいダンスを作り上げてきます。毎年壮大な曲なのですが、今年は壮大過ぎて把握しきれません。フルオーケストラに混声合唱まで入っています(オーケストラは打ち込みかもしれませんが)。
今までは基本のリズムは強いビートのロックで、そこにオーケストラや三味線などが加味されていたのですが、今年はロックビートを廃し、クラシカルな重厚さを強調しています。ハリウッドの大作映画の音楽みたいです。よさこい節のフレーズが入ってくると、急に時代劇映画風になってきますが。
草加のメインステージはスペースに奥行きがあまりないので、疾風乱舞の構成美は活かしきれなかったようです。
こちらの動画が本来の姿かと思います。
ジャズダンスがベースにあり、一人ひとりが自分が主役だと言わんばかりに目一杯大きな動きを見せる。なのに全体としてひとつの生命体のような統一した躍動が見える。いいダンスはきっとみんなそうかもしれませんが。
疾風乱舞に限らず、ヨサコイの音楽はますます多彩になっています。
演歌・歌謡曲調、民謡調、ハードロックやヒップホップ、アニメ風の曲も。同時に衣装やダンスの振付もなんでもありです。
ヨサコイの音楽を請け負う作編曲家たちはしのぎを削って新しい表現をどんどん開拓し、ジャンルのひろがりは膨張宇宙の様相を呈しているところです。
そのようにヨサコイはなんでもありなのに、演舞を見て音楽を聴いてみれば、それはヨサコイだ、これはヨサコイじゃない、と誰もが判断できます。それが面白いと思います。
一方サンバ。
生音のサンバパーカッションはやはり大迫力で、独特の16ビートには身も心も揺らされます。
指揮者がホイッスルを吹きながら指示を出し、パターンが次々と変化し、パレードにうねりを創りだしています。
さて、サンバのチームごとの音楽の違いは何でしょうか。
基本のリズムパターンはみなさん同じものを使っているし、素人には違いを聞き分けることは困難です。
でも、サンバ通の人には、音を聴いただけで聞き分けられるのでしょう。大違いじゃないか、と言うかもしれません。
僕は阿波踊りを10年ほどやっていました。阿波踊りの鳴り物ってチャンカチャンカという弾むリズムで、どの連も同じようなものですよね。でもいくつかの有名連の鳴り物は聞き分けられましたよ。さすが娯茶平! ってうっとりしたりして。
ということはヨサコイとサンバは逆なのかな。
ヨサコイはチームごとに全然違う音楽ジャンルやダンススタイルだけど、集合のベン図の交わりの部分に何か濃い色の共通項があるような気がします。
その共通項が強く訴えてくるのです。
「これはヨサコイだ!」
そして、個々のヨサコイがあまりにも多彩だからこそ、全体的な同一性を強く意識するのかもしれません。「でも結局同じだよね」と思いたい。
同一性の中身を言葉にするなら、「日本的なるもの」とか「絆」とか「気合」とかでしょうか。
そんな同一性を共有できない人やチームは、ヨサコイをやるのは難しいかもしれません。なにしろ「型」がないのですから。
サンバは基本は同じようなリズムパターンですが、そこから微妙に変化させて独自の構成を作りあげて、チームの色を出していきます。
聞き手はお馴染みのいつものサンバという型を踏まえた上で、チームごとの違いを見出して楽しんでいきます。つまり、サンバでは意識のベクトルは同一性から差異性へと向いている。
ヨサコイとサンバの違いは何? 「違うけど同じ」と「同じだけど違う」?。それは大違い? それとも似たようなもの?
↓参考までに去年よさこいサンバフェスティバルについて書いた記事。