5月21日(土)、草加市文化会館ホールで国指定重要無形民俗文化財、「淡路人形浄瑠璃 草加公演2016」が開催されました。
人形浄瑠璃を初めて見ました。瀬戸内海の島、淡路に人形浄瑠璃の伝統があることも初めて知りました。
パンフレットのメンバー紹介を見ると、中学校の部活や子供会から淡路人形座へ入座したという経歴が目立ちます。子供が積極的に伝統芸能の継承に務めるのは素晴らしいですね。
伝統芸能のようなさほど面白味がないものに子供が興味を示すとはなんと奇特な、というぐらいに思っていました。
僕は人形浄瑠璃を誤解していました。まさか面白いとは思っていなかった。面白いから子供が入るんですね。
正直セリフはほとんど聞き取れませんでした。でもセリフっていうか歌、それはBGMみたいなものなんです。物語の内容はシンプルだし、言葉がそんなにきちんとわかる必要もない。
人形の動きがリアルすぎて気持ち悪いほどでした。足がちょっと異様なほど長く、広い歩幅でぐんぐん歩く、走る、跳ねる。
3人の黒子(くろこ)が完璧なコンビネーションで動かしまくる。人間の子供ぐらい大きいから、またその躍動感が際立つ。
牛若丸と弁慶が五条橋で戦う場面に、面白さの醍醐味が詰まっていました。
五条橋は背景画とセットが組み合わされていて、欄干がちゃんとありました。
弁慶は武器コレクターです。背負っていた無数の刀剣類をいったん地面におろし、刀を持って牛若丸に戦いを挑みます。
でも牛若丸はひらりと跳躍して欄干の上へ。またひらりと跳躍して弁慶の背後へ。弁慶の刀を奪い取ってしまいます。
弁慶は背中を向けて腰をかがめて武器コレクションをあさります。よしこれだ! と次の武器、槍を掲げて、牛若丸に挑みます。
牛若丸は跳躍して逃げ、また背後に回り、武器を奪います。
弁慶はまた武器コレクションあさり、次の武器、斧を持ち出して、挑みます。
牛若丸は跳躍して武器を奪います。
弁慶はまた武器をあさり、まさかりを持ち出します。
パターンの反復がじわじわ効いてきました。弁慶が新しい武器を取り出すたびに、観客にどっと笑いが起こりました。
また、この戦いのシーンの間、2名の三味線奏者は演奏を続けていましたが、太夫(語り手)は沈黙していたのが印象的でした。無言劇。チャップリンの映画みたいです。アクションのコントなので、セリフも説明もいらないわけです。
さて、弁慶はとうとうでかいのこぎりを引っ張り出してきて、欄干の柱をぎこぎこ曳いて牛若丸を落とそうと試みました。
牛若丸はひらりと弁慶の背後に回り、なんとのこぎり曳きを手伝い出しました。場内は大爆笑。
このギャグの感覚は、ドリフターズの「8時だよ全員集合!」そのものではないでしょうか。
子供がいっぱいいたら、絶対「うしろ! うしろ!」って叫んでいたはず。
子供がほとんどいなかったのが返す返すももったいない。